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Channel: ゴン麹 酔いどれ散歩千鳥足 <野望と無謀>
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十六代目として〜湯川酒造 湯川尚子さん〜 

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湯川尚子さん。
酒呑みなら名前は聞いたことがあるだろう。
慶安3年(1650)の創業以来、長野県木曽路の地にある老舗酒蔵、湯川酒造の16代目。
女性蔵元である。
gon麹もここ数年で酒イベントなどで何度かお会いするたびに
いつかこの人の生まれ育った蔵にお邪魔したいと思っていた。
そんな思いが叶ったのが今秋のこと。
造りはじめの頃のことである。



とにかく長野の木曽路は山深き場所。
昔の街道の地とは聞いていたが、蔵は山と山の間に伸びる薮原宿の一角にあった。



大きく木曽路と彫られた看板と酒林(杉玉)、
そして大きな信楽焼のお狸さんが目印である。

引き戸のチャイムを押して中を伺うと、尚子さんのお母様が出迎えてくれた。
風格ある屋敷のなかの土間を歩き、奥の酒蔵へ。
時刻はAM9:00。
蔵の二階では大きな甑で酒米がふっくらと蒸されていた。



膨れた白布の上にある籠は高知の職人の手のもの。
今季の造りで新調されたものとか。
「籠のほうが持ち運びやすい」(丸山杜氏)。

蒸された酒米の蒸気が新しい籠を包み込み、炊きたてご飯の美味しそうな香りなかに
竹の青々しい香りがほのかに混ざっている。



二層になっている甑。
今回の蒸しで上層は60キロ。これは室に引き込まれる。
約1時間、じっくりと甑で蒸される酒米。




蒸し具合は酒造りに携わる蔵人全員で確認。
蒸し具合を見る「ひねり餅」だ。
少量の蒸し米を手に取り熱いうちに
手のひらでひねって餅をつくり、そのひねり餅で蒸し上がり具合をみる。
蔵元、杜氏、蔵人関係なく、皆手にとり確かめる。



いい蒸し具合と判断したら、専用のスコップで甑から蒸米を掘り出す作業に。
スコップで籠などに入れこむ、いわゆる‘掘る’作業。
大体、籠1杯5キロ弱。
室にひきこむ作業は時間との勝負。
男はもちろん、女でも弱音なんていってられない。



甑と室の間を蔵人が代わる代わる往復する。
秋とはいえ、外気は肌寒いはずなのに、引き込み最中の蔵の現場の空気は暑い。

お釜の下層で蒸されていた米は酒母用のかけ米となる。



蔵の酒母室は一階。
そこまで蒸した米を運ぶのは!エアーホース!大統領専用機!ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ  
エアシューターである。

そのエアシューターをセットするのは杜氏の仕事。
手慣れた様子で蔵の中に隠されていたホースを取り出してきて、
セッティング。



セットができたら、下層の蒸し米を放冷機へ。



一粒も無駄にしないように慎重に。
「うちの蔵のある場所は谷間なので、幅が狭い。だから上へ上への構造になるけど、
この構造がうちの造りにとってちょうどいい広さなんですよ」(尚子さん)。

ちょうど小学校の教室一部屋くらいの空間に甑と放冷機が並び、
その上を蒸し米がクレーンで飛んでいく。
サーカスのパフォーマンスをみているような感覚でワクワクするのは見学しているものだけ。
造り手はもちろん真剣である。



放冷機の上で蒸米をくるんだ布の下を開いて、いれる。
スイッチをいれると蔵中に響くゴゴゴゴオゴゴゴオオオゴオオオという機械音。
大きなおだんご状だった蒸米が放冷機の中で圴一な大きさで広げられ、
ほぼ一定の温度まで下げられていく。



「ほぼ圴一な温度にしないといけないから、なるべく大きな塊にならないように気をつける」という丸山杜氏。
放冷機のベルト上に動いている蒸米のすべてにぬかりなく目を光らせて、
少しでも大きな塊があれば、手にとりほぐし、圴一にほぐしていく。
まだ蒸米からは湯気が立ち上っている。
熱いはずだ。熱いはずだが、そんな気配すら微塵も見せない。

「熱いときでも熱いという暇なんてないんです」と以前、尚子さんに聞いたことがある。
造りは時間との勝負。特に‘蒸し’は温度があってのものだ。

なんでもすぐに「熱いからもてへん」とネコ手をアピールするgon麹。恥ずかしい……。



放冷機を通った蒸米をほぐしつつ、杜氏は匂いをかいで出来具合をチェック。
このあと、かけ米として
エアシューターで酒母室のタンクまで運ばれるのだ。


エアシューターは二階から一階へとタンクの上や他の機械の上にはりめぐらされている。
夏のウォータープールの滑り台みたいな感じで、
放冷機を飛び出したかけ米はあっという間に通り過ぎていく。
じぃいいっとホースをみていると白い米がビュンビュンビュンと飛んでいくのがよくわかる。
まるで運動会で各蒸米が酒母タンク目指してかけっこをしているような感じだ。
ε=ε=(* ̄ー)ノノ[タンク] ε=ε=(* ̄ー)ノノ[タンク]
あぁ一緒にかけっこしたい♪



酒母室では蔵人が小ぶりの電動櫂をもって、
かけっこしてきたかけ米のゴールを受け止めている。
勢いよく酒母タンクにダイブするかけ米。



「今回は120キロくらいのかけ米です。この酒タンクは200リットルなので今日は少ないくらいですね。まだ溶かしやすい量ですよ」(蔵人)

造り中頃になると150キロ以上だとか。こうなってくると電動の櫂で勢いよくかき混ぜても
なかなかスムーズにはいかないらしい。



二の腕が筋肉痛になるのでは?と見ているほうが心配になってくるが、
そこは蔵人。へっちゃらさーという涼しい顔で作業を続ける。


温度をみつつ、撹拌を続ける。
蔵で働くということは体力がないとできないことなのだ。
あぁ、運動不足気味のgon麹は1時間で音を上げるのは間違いない。



湯川酒造で使われている酵母は協会901号。
性質は協会9号と同じだが、醪で高泡を出さない酵母だ。
「酸は少ないけれど、香気が高いですね」(尚子さん)。
酒呑みだが、こういう酵母の話になると小学一年生レベルのgon麹。
ちゃんと知識いれておかねば。アセ(;~▽~;)アセ

かけ米のエアシューターかけっこはあっという間に終わる。
すると蔵人全員でホースの片付け。
ホースのつなぎ目を外して、元の場所へ。



片付ける前のホース内をのぞくとゴールできずに力つきたかけ米さんが……。
「おつかれさん」と思わず、声かけた。



さて、尚子さんは室に引き込んだ蒸米に麹菌をふりかける種きり作業である。



缶から飛び出す種麹。緑色に見えるのは一瞬だけで、
あっという間に蒸米の周りに消えていく。
振りかけたら、床もみ作業。
蒸米に圴一に種麹が付着するように何度もひっくり返す。
室のなかは約35度。
熱い、じっとりと汗をかいてしまう。



「寒すぎても暑すぎてもダメなので一番温度管理に気をつかいますね。でもこの米がうちの酒を造りだしてくれると思うと、そういう手間暇もへっちゃら……かも。あ、造りの初めだからいえるんですけれど。忙しくなると、もうヘトヘトになりますよ(笑)」(尚子さん)。

某CMで酒造りをする職人の手の美しさをとりあげていたものがあった。
尚子さんの手もそうなのだろうか……と、じぃいいとみていたgon麹。
その視線に感づいて、一言。
「床もみとかすると確かに肌にいいと思うけど、それ以上に洗米作業など水を使う作業が多いので、荒れてますよ(爆)」
という尚子さんの肌は間違いなく白くてきめ細かい。



仕込み水はもちろん、蔵で使われている水はすべて
広大なカラマツ林が広がる木曽山地より湧き出す井戸水。
透明度はかなりあり、冷たさも十分。
今夏のように猛暑が続いた日にごくごく飲みたい気分である。



作業が一通りできたら、掃除である。
使ったものすべて綺麗に水洗い。
「次の仕込みをスムーズにするために、湯川酒造の品質を保つために
掃除が一番大事だ」と丸山杜氏はいう。
その言葉どおり、掃除し終わった蔵はピッカピカ。
ここで造られる子は間違いないと「よくできました」という太鼓判が押せる。



湯川酒造の酒は二通りに分かれる。
都会を中心に人気がある『九郎右衛門』シリーズと昔ながらの『木曽路』だ。
地元の人は昔なじみの『木曽路』に手が伸びるらしい。
どっしりとした子で、旨味の幅が面白いほど広く、そして深い。
雑味というと語弊があるが、米ひとつひとつの味が面白いぐらい元気なのだ。
飲みやすいということはない。どちらかというとしっかりとのんびり、ちびりちびりと
いつまでも飲んでいる子だろう。

飲みやすさでいえば『九郎右衛門』のほうかもしれない。
こちらはこちらでいろんな味の世界をもつ子が多く、ストレートでもよし、燗酒にも向く。



「酒は賛否両論ある世界だけど、嗜好品なのだから、いろんな性格があっていいと思う。そのなかでうちの酒は、飲んでいる人が当たり前のようにいつでもサッと嗜んでもらえる子になるといいな」

湯川酒造16代目当主、湯川尚子さん。
造りは今からどんどん忙しく気がぬけなくなるだろう。
今年より造りの蔵人は丸山杜氏を含めて4人体制となった。

「少数精鋭でうちの酒は造りだします。23BYもよかったけど24BYもやっぱりいいね、といわれるように」

まだ秋色に染まっていなかった木曽の山々はもう雪がつもっているとか。
日照時間もどんどん短くなる。
今日も明日も明後日も湯川酒造の蔵からは蒸米の蒸気があがり、
タンクに櫂をいれる音が聞こえているのだろう。

今宵の一杯は、尚子さん達が醸し出した子に決めた。




※12月7日、双葉社より発売された『Bacchante』で湯川尚子さんを紹介しております。尚子さんがどのような思いで酒を造り続けているのか……。ぜひご覧ください。全国書店、都内コンビニ、アマゾンで購入可能。(http://bacchante.jp)





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DATA)
蔵名:湯川酒造店
住所:長野県木祖群木祖村藪原1003-1
電話:0264-36-2030
URL :http://www.sake-kisoji.com











パン好きなら食べてみよう♪ noRoのモチモチベーグル

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そこにいけば一人になれる、
そこにいけば思考を一時オフにできる、
そこにいけば胃袋の調子がよくなる、心が軽くなる、胃袋の救済場でもある。
ここはおいしい焼きたてのベーグルが食べられるパン屋さん、

板橋区と北区のちょうど狭間にあるnoRo。



「いらっしゃいませ」
いつものように店長のミオさんの元気な声が
調理場から元気よく迎えてくれた。

窓辺に並ぶ籠にはできたてパンがお行儀よく並ぶ。
お日様の光りをあびるパン。
美味しそう〜♪ と思うのは自分だけではない。
大人も子供も学生も昼時になるとお腹すいたという顔で飛び込んでくる。
パン棚を横目にランチメニューの黒板をみる。



名物メニューはトマトカレー。
酸味の聞いたトマトカレーもいいが、
今日はストライキを起こした胃袋の調を整えるために
ひよこ豆とニンジンのポタージュ&いちじくベーグルにしよう。

ニンジンのオレンジ色が鮮やかで暖かみがあり
寒い冬で凍えた心をホッとさせてくれる。
そしてひよこ豆のとろみがスルっと喉にすべりこんでくる。
コクがあるのにすっきりした味わいだ。
いちじくのベーグルをつまんで口にほおりこめば、
甘酸っぱい香りが口のなかで膨らむ。
モチモチしたベーグルは食べ応え十分。
手のひらサイズという大きさは大人でもお腹いっぱいになれるボリュームだ。



ランチで選べるベーグルは店内で販売しているベーグルどれでもOK。
プレーンもあれば抹茶やチョコレートオレンジなど日替わりベーグルもある。
いちじくはそのなかでも定番メニューのひとつで、しかも他のベーグルより少し割高設定。
それでもランチでチョイスするとプレーンと同じ値段になるので、お得度100%なのだ。
ポタージュをのみつつ、サイドメニューのサラダをつっつき、ベーグルをかじる。
バランスとれたランチプレート。
これで1000円しないのだから、家計厳しい!?食いしん坊にはありがたい。

小一時間、noRoですごせば、
日頃の暴飲暴食で弱った胃腸のストライキも治まる。
そう、ここは胃腸の救済場、



お会計をすませたとき
ちょっと小ぶりの
ラム酒漬けのレーズンやオレンジ入りクリームチーズのベーグルが目に入った。





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DATA)
店名:noRo
住所:板橋区稲荷台2-1
電話:03-3962-7336
営業:月・水・木・金11:30~14:30/火11:30~17:30
休 :土日祝



Merry Christmas♪=鶏会

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Merry Christmas♪

クリスマス寒波が日本中を覆っている寒い寒いクリスマス。
それでも美味しいものは食べたいもの。(いつもやろ!)

スパークリング&ワイン♪もいいけれど、こういうとき濁りのシュワシュワも酔いね!
ということで、鳩ヶ谷にあるマスヤ酒店で購入したのが



神亀 純米活性にごり酒。
「瓶をふらないようにね」と店長の言葉どおり、そおっつとそおっと開栓。
およ、拭いてこない。ちょっとは振ったほうがよかったのかと思うくらい、おとなしい子だ。
部屋が汚れないので(笑)、ありがたいことはありがたい。
これもサンタクロースのなせる業だろう。

さて、クリスマスというと鶏である。

クリスマスパーティー=鶏会。うん、これに決定。(≧∀´##)



北区十条商店街はとにかく鶏屋が多い!
老舗の鶏屋からつい最近できた鶏屋まで。商店街にいくつも並んでいる。
ある意味、十条は鶏、唐揚げZONEといってもいいだろう。

よくマスコミで紹介されているのが



鳥大。

毎日大行列ができており、多いときになると50mつながっていることもある。
十条ということもあり、価格は破格。



チキンボールは1個10円。これ目当てにくる人も少なくない。
「チキンボール50個」「チキンボール150個」

個数が半端ないけれど、50個で500円。
(お一人様50個までという購入制限あり)
懐に優しいお店である。

もちろんgon麹もチキンボールを注文。
「10個ください」と100円。

揚げたてアツアツのチキンボール。
おからに少し鶏のミンチを混ぜ合わせた肉団子を油で揚げただけ。
おからの味がちゃんとでているので、塩や醤油など調味料は一切いらない。
素朴でニコっとできる逸品だ。

香ばしい香りが鼻をくすぐる。
家に持ち帰るまでにつまみ食いしそうだ。



チキンボールを1個ほおりこんで、神亀をグビッといけば、
頭の中はMerry Christmas♪

酵母が生きたまま瓶詰めされている純米にごり酒。
口のなかでピチピチとはじける炭酸ガスがチキンボールをキックオフ!はじめた。
純米酒の旨みはもちろん濃厚でしかもビロードのような滑らかさが舌の上に広がる。
にごり酒だけど甘さは控え目。
これくらいがちょうどいい。

12月25日、クリスマス。
サンタクロースのプレゼントににやついて、
今宵も一杯、美味しいお酒をいただこう。
Merry Christmas、クリスマスソングを口ずさみながら♪
チキンボールつっついて。





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DATA)
店名:鳥大
住所:北区十条仲原1-4-11
電話:03-3905-1414
営業:10:00~20:00
休 :日(不定休)









あけましておめでとうございます。

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2013年 元旦

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞgon麹共々酒ナフキンをよろしくお願いいたします。



2013年の初酒。
皆様はどのような子をいただいたのでしょうか。

地元の蔵酒? ワイン? スパークリング?
参拝詣でのふるまい酒? おせちと共にお屠蘇……。

なにはともあれ、酔いスタートではじまりました巳年。
きっと美味しい肴に旨き酒。心安らぐ居酒屋に酒屋。
どんな出会いがご縁があるだろうかとワクワクします。

意気揚々、テーマソングは威風堂々♪

各地をにょろにょろっと昨年以上に駆け回りますので、
見かけたら、「あ、さまよってるな(爆)」と見守ってくださるとうれしいです。

全国&全世界の酒蔵様(語学能力ほとんどありませんが)、
怪しい麹がひょろっとお邪魔すると思います。(も!もちろんアポいれてですが)
そのときはどうぞ、よろしくお願いいたします。
タンクにスリスリしても見逃してくださいね。アセ(;~▽~;)アセ、

居酒屋で酔っぱらいのgon麹をみかけましたら、
皆様、酔虎に酔酎胃でございます。
逃げるか避けるかしてください。(本気)
(((((((`ω´ノ;)ノ ニゲロ~!!



2013年 巳年。
酔いご縁に燗謝(感謝)の心♪
どうぞよろしくお願いいたします。





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酒造り体験ーひねり餅ー

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お正月気分はそろそろ抜けて
巳年生活、本格的にスタートした今週。

今年はスナフキン(放浪)予定が新年早々リズムよく決まっていく。

これがすべて仕事になればいいのだが、こればっかりはご縁の世界。
もう少し営業能力を高めるべきか……。



さて、各地の酒蔵廻りをしているが
造りを体験しているわけじゃない。

酒造りの流れを頭でなんとなく理解していても、実体験をしていない以上、机の上の理論と変わらない。

そんな思いを酒神様はきいてくれたか
ひと通りの造りを体験させてくれるチャンスをくれた。

このひねり餅体験もそのひとつ。




蒸しあがった米をひとつまみ、
指と指の力だけで餅にしていく。
蒸米の水分量と粘り気をみる大事な作業だ。

「ひねり餅は力任せでおしてもお餅になりませんよ。ちゃんとひねってください」




そういわれても、うまくひねれない^_^;。

握力ないのがよくわかる。
もうちょっと胡桃で鍛えておけばよかった。




掌にちょこっととった蒸米。
意外と手強い(^◇^;)

こねくりまわして、餅までにはいかないが、おむすびっぽくはなった。


「これはひねり餅じゃなくて、おむすびだね」

笑われてしまう。
ぜんせん役不足のgon麹である。
もっとも蒸しあがった米はかなり熱い。
ヽ(´o`;
猫手だーと甘えられないのも事実である。

ほんに酒造りなる世界は一言ではいえぬ次元のもの。




へなちょこgon麹、身をもって体験させていただいておりまする。

もちろんひねり餅はきちんとお腹に収まったのはいうまでもない\(^o^)/



 
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鉄板焼きの生みの店 特選神戸牛ステーキ 彌でにくにく三昧♡

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鉄板焼き。
大きな鉄板に大ぶりにカットされた野菜やお肉が
軽快な音をたてて焼かれていく料理である。
この鉄板焼き。今日では世界中に広まっているが、
この鉄板焼きを生み出したのがステーキ彌のオーナーシェフ、塚本弥一郎氏の父親である。



「日本では昭和初めまで木炭を燃料として七輪などで加熱する方法が一般的でした。
戦後の話になりますが、今のようにガスコンロ設備などがしっかりしていないとき、
うちの父親が畳一畳分ぐらいの大きさの廃品の鉄板で数少ない食材を集めては焼き、
調理して提供していたんです。
闇市時代の話ですね。日本はまだ進駐軍の時代。
父親の鉄板焼きの噂を聞き、彼らはジープに乗って出かけてきた。
外国人の彼らにとって、当時の日本食はものたらなかったのでしょうね。
父親の鉄板焼きをみて、カットした肉をそのまま焼けというオーダーをしたそうです」



先代が焼き上げた肉を進駐軍の軍人は大満足でたいらげ、
その後、日本中に鉄板焼きという手法が世の中に浸透したそうだ。
今日では電気式のホットプレートが普及し、家庭でも手軽に鉄板焼きを楽しむことが出来る。
そんな日常の食事風景を生み出してくれたのが塚本家なのだ。



ステーキ彌があるのは兵庫県三宮。
鉄板焼きの聖地ともいうべき場所のど真ん中のビルにお店はある。
神戸牛というブランドを作り出したのも塚本弥一郎氏だ。

「神戸には牛はいませんよ。でもここで調理される、料理される牛は神戸牛というブランドになる。
ブランドを認知させるのっていろいろ大変なんですよ。
大阪、東京でもいろいろな仕掛けをしました。多く失敗もあったし、不発だったイベントも多かった。それでも私は神戸で食べられる牛は旨いんだという信念をなくすことはなかった。
結果、神戸牛というブランドが世界に通用するようになれました」

茜色とも、緋色ともいえる肉色にちりばめられた鹿の子模様の白脂。
このブロックに牛刀を入れると
断面にほのかにかすみがなびいたようにみえる。
これは脂質がよく融点が低いからだそうだ。
こういう肉を「トビ」というらしい。



神戸ト場の買参権を持ち、枝肉のセリに参加。
但馬牛の肥育も手がけながら、日本初の電気式の鉄板や日本唯一の排煙システムを開発導入した。
おかげで現在のステーキ屋さんでステーキを食べるとき、
煙でお客から不満がでるということが少ないというのも、塚本弥一郎氏のおかげだ。



店の鉄板もすべて電気式。
ピカピカに磨かれた鉄板に厚みのあるビーフをオーダーに応じて焼き上げてくれる。
湯気のような煙が立ち上るように見えるが一瞬で消え、煙を気にせずに
目の前のパフォーマンスを楽しむことができる。



ほどよい焼き具合になると食べやすい大きさに牛刀でカット。
サッと切れていく肉の表面からは透明な脂がにじみでている。

焼きたての肉は口の中で蕩ける。
最高級のビーフだ。
最高の食材にあったとき、言葉などいらない。いや、言葉すらでない。
五感を超えた世界にいざなってくれるあの感覚は
体験した者のみ許されたものだろう。



こちらは肉だけではなく、魚介類から野菜、自家製のデリカやパンへのこだわりも深く、
ドリンクもワイン、梅酒、焼酎の他に、独自で酒蔵と契約した吟醸酒への意識も高い。
「牛肉とワインは当たりまえになりましたが、日本酒との相性も間違いなくいい。
日本で生まれ育った牛なんだから、日本酒と相性が悪いわけがない。
たくさんの人に飲んでほしいですね。」

店でいただいた日本酒は紫綬褒章の故石原但馬杜氏が醸したステーキ彌オリジナル純米大吟醸。
この子を高橋南部杜氏によりいっそう育まれ、年々鮮烈にそして透き通るような味わいである。

メニューはアラカルトや一品料理もあるが、やはりコースがベストである。


松茸など野菜類から、チーズをたっぷり使ったグラタンなどの小鉢までと、バランスがよい。


松茸は基本、1年中手にはいるそうだ。



「外国産のものもありますが、日本産のものが手にはいるときは極力、日本産のものです。
おおぶりな松茸は美味しくないといいますが、この松茸は香りもいいし、
肉厚なのでキノコのもつ食感を楽しめます」



トマトとフォアグラのミルフィーユという贅沢な一皿はちょっとびっくり。
フォアグラの脂もそれほど気にすることもなく、トマトの甘さのなかの酸味が
いい塩梅で染み込んでいるので、食べやすい。



メインが焼き上がるまでのお楽しみもどれもお腹が大満足できるものばかり。



グラタンの中からでてきたのはあんころ餅。これにはびっくり。
讃岐出身のgon麹としては、懐かしいあんころ餅料理である。
あんころ餅談義でしばし塚本氏と四国話に花が咲く。




ステーキの桃源郷ともいうべき神戸三宮。
この三宮にはいくつ鉄板焼き屋があるのだろう。
空に伸びるビルにはいくつもの鉄板焼きの看板が鈴なりに連なっている。
そのなかに煌煌と輝くステーキ彌の看板。

「鉄板焼きというと家庭料理のイメージや身近なものになりました。ステーキの鉄板焼きというとまだ高級なイメージがあるかもしれないけれど、高級なイメージをもっていただけるからこそ、お客様に楽しんでいただける最高のおもてなしをするのが私たち、鉄板焼きの料理人だと思います。まだまだ精進するところがいっぱいです」

神戸ビーフ鉄板焼の中興の祖・creator of Teppanyaki Steakと評され、
又濫觴と冠されてもなお、まだまだ修行中という塚本氏。

確かに日々の料理というわけにはいかないが、ハレの日など特別なときなど、
美味しいステーキが食べたいと頭に浮かぶ店はステーキ彌である。



 
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店内で目をひくは天井高6Mの壁面に日本画と書の大作。
のんびりと堀炬燵式鉄板で味わう特選神戸牛は口の中で蕩ける……。


DATA)
店名:ステーキ彌
住所:兵庫県神戸市中央区下山手通2-1-14 アークコーストビル 7F
電話:078-322-0457
営業:11:30~22:00
休 :無
URL :http://www.teppanyaki.co.jp/index.html

注意:コース内容やメニューは変化あるので、お店に直接お問い合わせください。

会津名物といえば!? 馬肉♪馬肉♪

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馬肉。
熊本や長野の名物と思っていたgon麹。
福島の会津地方の名物でもあるということを今さらながら知る。アセ(;~▽~;)アセ

郷土料理として口にしたとき、いままで口にしていた馬肉とまた味わいが異なるなあと感動し、
どこかで購入することはできないかと思っていたとき、
教えてもらったのが「杉葉」だ。
1階は精肉屋。2階は食堂になっている。
今回は馬肉を手にいれることが目的なので、1階へ突入。
食いしん坊の友人の後についていった。レ(゚∀゚)ヘ=З=З=З



昭和40年代初めから喜多方では初めて馬刺しをあつかいだし、
馬刺しと言えば「杉葉」と言われるくらい喜多方で地元はもちろん日本全国の馬肉ファンから
親しまれている。

そんな「杉葉」精肉屋のガラスケースのなかには豚、牛肉が並んでいる。
馬肉は……と店内を見渡すと、奥のガラスケース一角が馬肉ZONEだった。
モモ、ヒレ、霜降り、ロース、赤身、タテガミなど分けられており、
目移りしてなかなか決まらない。

どれがいいんだろうと悩んでいると、店主が優しい笑顔で
「切り落としがおすすめだよ」という。

切り落とし? 切り落としとはなんぞや?
頭を捻っていると
「モモ、ヒレ、霜降り、ロース、赤身で綺麗にカットできなかった部分を集めたもので、いろんな味を楽しめるよ」と教えてくれた。

これはラッキー♪ 一度で美味しい思いができそうである。
それを4人前購入。(購入したのは友人である)

いそいそと歩いて、
さあ、食べるぞーとなったのは会津電鉄の電車内だ。



馬肉の赤身が空気に触れると桜色となり、
馬肉の切り身がサクラの花びらを想像させることから、
サクラとかサクラ肉と呼ばれる馬肉。
サクラというよりあでやかな牡丹だろうと思ってしまうが
ボタン肉はイノシシであるから、今更ながらいえない。

調味料として醤油の他になくてはならないにんにく辛子味噌もたっぷりつけてくれていた。この味噌、お店の特製のにんにく味噌ダレであり、これが目当てでリピーターになる人も多いらしい。

切り落としなので、どれがどの部位なのか、
肉博士でないのでわからないが、どの馬肉も甘く、そして旨い。
味噌を少しつけてほおばる。
むしゃりと一噛みしたら、柔らかい肉がぷるんと歯の付け根をおしてくる。
肉とはいえ脂を感じることはほとんどなく、ヘルシーで食べやすい。
これは!女性ウケがいいのでは!
あまり肉派でないgon麹も何枚もぱくつける。
一心不乱に馬肉を〜と同時にもちろんいただくのは♪



日本酒。
福島県喜多方の夢心酒造さんの『奈良萬』純米酒。
やわらかいメロン系の香りで飲み口はさらりとしながらもキレあり。
原料の米の旨味がしっかりと口のながでひろがり、
米の甘さが鼻の中をふわんふわんとくぐり抜ける。
酸もほのかにかんじられる。
鼻の穴全開♪ 
馬肉との相性もよすぎる。
会津産五百万石の酒米。精米は55%。
お米の半分強を精米した子でありながら、米の旨さは損なわないのは
夢心酒造がもつ造りと蔵人さん達の熱意だろう。

今は常温で飲んでいるが、間違いなく燗でもいい子だ。
あぁ、またもや思うのがミニミニ燗すけである。
電車内で燗つけができたら、どんなにいいか。
酒ナフキン(酒放浪という意)のとき、小さい魔法瓶持ち歩こうか。


クイっと奈良萬をひっかけて、馬肉を数枚口に放り込めば……
体中に日本が誇る!麗しき会津の魂が駆け出していきそうだ。

ちなみに馬肉はかなりの栄養素が多くあり、バランスがいいとのこと。
特に高タンパクで低カロリーであり、
ミネラルやタンパク質、グリコーゲンなどが含まれているそうだ。
タンパク質にはペプチドという成分があり、
グリコーゲンには、動物性の多糖類の一種でブドウ糖に変化するもので、
エネルギー源として大事なもとである。
しかも馬肉のグリコーゲンは他の食肉の3倍も含まれているとのこと。
「馬肉を食べると体が温まる」といわれるが、
このグリコーゲンの働きであるという人もいる。

カルシウムは牛豚の3~4倍、鉄分は牛豚鶏の約3~4倍。
鉄分にはヘム鉄が豊富に含ま、ビタミンAやEといった、ビタミンも多い。
他にも健康に欠かせない必須脂肪酸であるリノール酸、α-リノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸が牛肉や豚肉と比較してもバランスよく豊富だそうだ。

いいことばかりの馬肉! こんな美味しい食材が郷土料理とは
会津がものすごくうらやましいgon麹。

また次回、会津をスナフキンするとき
馬肉を手にしようと心に決めたのは間違いない。



 
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馬肉を食するようになったのは豊臣秀吉の世、文禄,慶長の役の際で加藤清正軍が食の補給を絶たれたため、軍馬を食べたのが始まりだといわれている。馬肉のことを「けとばし」と呼ぶ場所もある。東京もそのひとつ。馬は脚で蹴とばすから、そう呼ばれるようになったらしい。


DATA)
店名:杉葉
住所:福島県喜多方市惣座宮2721
電話:0241-22-0124
営業:8:30~18:30(精肉店)/ 11:30~14:00 17:00~(食事処)
休 :月

最高峰のラム!登場!

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西日暮里駅(田町)より徒歩6分。(のんびり歩くと8分かかる)
いつもお邪魔するイタリアン店、Ristorante tono;4122の撒き餌につられたgon麹。

今回の撒き餌は………!

ファイブスターラムである。



昨年までRistorante tono;4122で食べられていたエデンポープの入荷が困難となり、
ラム好きファンの声が大きすぎたのか、別のなにかと用意してくれたのがファイブスターだった。

原産国はオーストラリア。
プレミアムラムを色々育ててきたオーストラリア・ヴィクトリア州である。
エデンホープもここで生まれている。まさにラム優等生ZONEなのだ。
ヴィクトリア州には沢山の羊農家が存在しているそうで、
オーストラリアの肥沃な土地、気候の恩恵を十二分に受けて育つ羊はみな一級品である。

ラムの最高峰、最高級といわれる理由はヴィクトリア州生まれというだけでない。
このヴィクトリア州の羊生産農家が「オーストラリアを象徴する国際レベルのラム肉を持続可能な農業で世界に届けよう」という信念のもと、
ラムの味だけを追求するのではなく、自然との調和、そして次世代に残すことが出来る羊を育てるプロジェクトを立ち上げたのがファイブスターラムのはじまりだといわれている。

でもこの流れの初めはオーストラリア国内ではなかった。
その場所はアメリカ、ボストン。
ひとりのオーストラリアのラムプロデューサーがどうやったら、
これほど旨い最高のオーストラリアンラムを米国に輸出する事ができるんだろうかと、
ボストンのBARで ボストンの羊肉屋と話していたことからはじまったらしい。
もちろん、すぐにうまく流れていくわけもなく、
粉骨砕身して10年。どうにかこうにかファイブスターに携わっている人、全員の力を集めた。
この集団が今のファイブスターラム協同組合となる。
彼らの活躍により今ではファイブスター・ラムは
最高のスペックということが世界中に知られるようになった。

その恩恵が今、目の前にある。

この美味しそうなファイブスターのお肉。
鮮やかなピンクの肉質は、可憐な乙女の肌色である♪
火はとおっているのにもかかわらず、艶かしいしっとり感は
絹糸が流れるようにほどけるような感じ。
それでいて、しっかりと甘みある旨味! 
そしてひろがるさらりとしたジューシーな脂が
自分のよだれとともに解け合ってくる。

くぅうううう。もーーーーーたまらーんん。\(@▽@)/\(@▽@)/\(@▽@)/

そんなファイブスターラムに添い遂げたのが



山口県岩国の銘酒『五橋 西都の雫 純米吟醸生原酒』
華やかで気品ある吟醸香がラムの甘みをくるんでくれる。
そして搾り立てならではの口当たりが肉の旨味をさらにひきあげてくれる。
そう、どーんとそびえ立つ、岩国城のような力強さにうっとり。
喉ごしのキレのよさもラムにぴったりである。

そしてもうひとつ。



秋田の天寿『米から育てた純米酒 ひやおろし』 純米吟醸・生詰。
花酵母らしい華やかな香りが溢れるこの子。
柔らかでふくよかな純米吟醸酒ならではのやんわりさを是非!燗で♪

地元の「天寿酒米研究会」産、美山錦を使用し、
なでしこの花から分離した花酵母で醸したそうで、とにかく上品であでやかである。
花酵母の香りに負けずお米の旨みもたっぷりありつつ、スッキリしてて、飲みやすい。
だからこそ、この子を燗にしたら、間違いない。

ファイブスターを食べた後の余韻をいつまでも残してくれるような気配がある天寿。
まさに隅々まで気配りがさりげなくできるいい女という感じだろう。
これは惚れるわ♡。

大皿にあったファイブスターもあっという間に消えてしまったが、
ヴィクトリア州の羊生産農家が世界に誇る最高級のラム肉の存在は
見事に食いしん坊の本能にインプット。

食べたばかりなのに、おかわりしたいという衝動にかられてしまったのはいうまでもない。

あ〜。また食べたい。 大きな口をあけてかぶりつきたーい。



 
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撮影協力Ristorante tono;4122

立春の日は搾りたてに酔う♪

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立春朝搾り。
1998年に日本名門酒会が始めたこのイベントは
あっという間に日本の暦にしっかり根付いている。
今年は全国の日本酒蔵元39蔵が参加し、4日の立春の朝に搾った新酒が
それぞれ蔵と契約している酒屋&飲食店に運ばれ、酒呑みの口に届いた。

立春はその字のごとく春のはじまり。
2月4日は例年よりも3、4℃高い3月の暖かい気温。
春がきているのを感じた1日であった。

今回いただいた立春朝搾りは
栃木県の第一酒造さんの開華。



精米歩合は53%。
およそ半分の精米された酒米で醸された朝搾り。
一口目はほのかに硬さがあるけれど、のんびり呑んでいると
その硬さは春の暖かさを感じて膨らむ桜の花の蕾のようにじんわりと優しさを感じさせてくれる。
味わいの広がりは分度器角度70度くらいだけども、
旨さはまっすぐのびる道路のようにどこまでもユレなく続く。
朝搾りというフレッシュさというべきなのか
舌の上で香りのたまりを若干感じるものの、それも慣れてしまえば、個性のひとつ。
絞った当日にしか味わえない世界なのかもしれない。



立春の日から2日ばかり経っていただいたのは


山口県、酒井酒造さんの五橋と三重県、若戎酒造の若戎。

蔵違いの飲み比べをすると、蔵ごとに味わいが見事に異なるのがよくわかる。
五橋は昨年いただいた立春朝搾りと比較すると、今年は一口目から春の陽射しに花を咲かせる華やかさを感じる。夏から秋に咲きほこるマリーゴールドのようなイメージ。
そして感じるのは朝搾りながら感じる酸味。
はや摘みしたプチトマトを齧った味わいには思わずニンマリしてしまう。
温暖な瀬戸内海の風景がしっかりと酒のなかにとけ込んでいるようで
春の海をやさしくきらめく太陽の陽射しが体中に走りだしていく。

若戎は昨年同様、清楚古風な風味に安心してグラスを持ち続けられた。
八百万の神々が集う日本の山脈に霧がたちこめた雰囲気が感じることができる。
そしてすぅうっとしとやかに流れる1本の滝があらわれる。
激しいものでなく、岩をつたいながらも一筋の柱のように天と地をつなぎ、
とうとうと旨味を舌の上に流し込んでくれる。
はじまりは堅実質素な世界でありながらも、口のなか、喉奥でゆるりゆるりと幅がひろがるのは
春先に花を満開にするモクレンのイメージ。
今年も自分の酒癖にピタリと合う子だ。

今年は39蔵のそれぞれの子が日本全国、呑み助の前に登場し、愉しまれていることだろう。
できれば39蔵、すべて呑みたいのが本音。
とはいえ、立春朝搾りというのは基本、地域限定酒である。
その土地にいてこそ、いただけるという決まりごと。
であるが、
その各地方の立春朝搾りが呑めるのは
日本の流通網のすばらしさと、
各蔵元さんの近郊や取引ある酒屋、
飲食店が2月4日の早朝から各蔵に出かけ、
瓶詰めや出荷作業を手伝い、
予約注文分の立春朝搾りを直接蔵から運び出し、
その日のうちに店舗販売(予約)するからである。

日本酒の搾りたては早々飲めるものじゃない。
こういう子は蔵元に直接いかないとどだい無理な話だ。

それが呑める今の時代。
本当にありがたいことだ。



立春朝搾りをいただくときはもちろん、ラベルの裏も要チェック。
「大吉」とかかれた文字が見えたら……
今年も無病息災でという蔵元からの祈りが届いた証である。



昨年の立春朝搾りはこんな感じでUP中。

※各立春朝搾りのイメージはあくまでもgon麹の酒感(主観)ですので、ご自身の感覚でお楽しみください。m(_ _"m)ペコリ ペコリ(o_ _)o))


 
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撮影協力Ristorante tono;4122&つちや

アンダーグラウンドは美味い秘密基地がいっぱい。

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東北最大の都市、宮城県仙台。
100万人都市には毎日多くの人々が四方八方から集まる。
初めて仙台を訪れたのはもう10数年も前のことだ。
東北の地にこんな大都会があるのかと
西日本人間が驚いた。

その後、様々な理由で何度か訪れた仙台だが記憶は仙台七夕まつりと伊達政宗の像、杜の都と呼ばれる欅が並ぶ街並みと日本三景の松島に牡蠣養殖である。

とにかく海の幸が美味かった。

肉厚の牡蠣を噛めば、ミルキィな汁が口の中に溢れ
漁船からあがったばかりの魚は
マーケットで見かける色合いとは異なる、生きている色をしていた。

さて今回の仙台入りの目的も美味しい幸に出会うことである。

仙台駅前には地元客にも観光客にも人気のある朝市がある。

その市のすぐ隣のビルに目的地があるのだが……

一見、飲食ビルとは見えぬ外観。
地下に続く階段を降りていくと数店舗の灯りが見えた。
アンダーグラウンドで見つけたのは




喰い処 東屋だ。

暖簾をくぐる前に来客を出迎えてくれるのは
張子の虎ならぬ張子の魚。

愛嬌ある顔だ。

来店したのが19時過ぎだったこともあり、
店内は客で満席。
タイミング悪かったなと思いつつも、食べたーいと念じていたら、
座敷のテーブルが空いた。
信じるものは救われる( ̄▽ ̄)。



まずはビールで冬の乾燥した喉を潤す。
一息ついたらもう安心。
何にしようかとオススメ黒板を見ていたら一つのメニューで目が止まる。

たらきく酢。
綺麗な名前だ。酢の物の類かと思っていたら、目の前にでてきたのは



鱈の白子酢。

真鱈の白子は模様がくっきりとして
菊のように見えることから“たらきく”と呼んでいるそうだ。

なんとも風流である。
肉厚な身をプチんと噛めば、とろりと溶けでる甘み。
このぷりんぷりんした身には
ビタミンB12が豊富に含まれている。
ビタミンB12には神経細胞の核酸や、タンパク質、脂質の合成を補助する役割があり、精神の安定や集中力や記憶力を向上させる働きがある。
さらに赤血球の中の核酸、DNAの合成に必要な葉酸の働きを助ける補酵素でもある。
成長期の子供や働く人にとって大事な栄養素(^○^)。
またビタミンD、E、B1などもあるのもビタミン不足にとってはありがたい。まあコレステロールが若干多めだけど、そこはバランスよく美味しくペロリといくべきである。




東屋はお刺身系がとにかく大人気。
本日のお刺身3点盛りは
鮪、鰤、鯛。
「ちょっと前まで大間の鮪だったけど今からは近海の鮪。いい脂がのってしかも身がバランスよく柔らかいんですよ」
東屋の大将が教えてくれた。
大間の鮪も食べたかったけど、大将の言葉どおり近海の鮪! むっちむちである。しかも甘い!!!
歯と歯の間でムニっと抵抗する感覚。
あぁ! 萌える〜!!!(失礼)。



こんな刺身に合わせたいのは
宮城の大沼酒造の
「大沼屋 特別純米 辛口 蔵出し生」
火入れは飲んだことあるけれど
生は久しぶり。
果実のような爽やかな香りが
口の中でふわっとまわると同時にきちっとした旨味が賽の目のように並んでくる。
飲み口始めも、途中でも味のバランスは良い。
余韻の気配を感じつつ後口はスッキリク。
生の特権というべき伸びがある味わいは、かつて竪三つ引両の旗印が杜の都にはためいていた馬印のようである。



とにかく注文するメニュー。どれも美味い(≧∇≦)。

下足でさえ、こんなに美味かったのか?と思わず失笑しそうになる。



ここまで料理がうまい秘密は!
素材はすべて大将と腹を割って信頼した業者からの直接仕入れであるため、価格はリーズナブルに抑えられ、厳選された素材を居酒屋価格で提供できるということらしい。
「海鮮類は石巻を中心。その日に陸揚げされた新鮮なものを使用するんです。海の恵みをそのまんまお客さんに出したいんですよ」。



ドリンクも日本酒、焼酎、ビールと充実したラインナップ。
季節によって銘柄は変わるが
日本酒は80銘柄ほどあるそうだ。

もうこうなると(^○^)
大将のお勧めをお任せするのみ。
ゆるゆると楽しんでいると
いつのまにか2時間過ぎていた。
入り口は東屋の料理を楽しみにやってくるお客さんでひっきりなしである。
ちょっと長居しすぎたか……。
でももうちょっといたい気持ち。
カウンター上のメニューをみていると
不思議なメニューを発見。
「おみくじ丼」( ̄ω ̄;)エートォ...

じぃいいっと見ているのに気づいたのか、大将がニカッと笑いながらヒントをくれた。

「うちのランチで答えがわかりますよ」

( ̄∀ ̄*)こ!これはランチに来ねば!!!

仙台のアンダーグラウンドで見つけた噂の美味き店。
薄暗い地下道にはまだまだ秘密が潜んでるv( ̄∇ ̄)ニヤッ



 
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DATE)
店名:東屋
住所:仙台市青葉区中央3-8-5新仙台駅前ビルB1
電話:022-211-5801
営業:11:30~14:0017:00~22:30(L.O.)
休 : 無

ほっこり群馬でイタリアン

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雪予報はどこへやら。
前橋の空は青空である。
先日までの寒気が嘘のようで
日差しの下にいるとコートなんか脱いでしまえ!という感じのポカポカ陽気だ。
こういう日はちょっと遠出するのがちょうどいい。
車を走らせて、お邪魔したのは、
群馬県前橋市にある
イタリアン、『RistoranteSorgente(リストランテソルジェンテ)』。

以前にも叔母とランチタイムにお邪魔したお店である。
シェフであるご主人と奥さんで切り盛りされている姿が印象的だった。



今回もランチコースで
まずは前菜のゴルゴンゾーラチーズのムース。
白いプレートの真ん中にポワンとおかれたムースは春の訪れを待ちわびる里山のよう。
しっとりとした食感がこれからやってくるコースの流れの旨さを予感させてくれる。


2皿目は釜揚げ仕立てのしらすと蛍いかのサラダ。
このサラダ、野菜の下にグレープフルーツが隠れている。
釜揚げされた真っ白いしらすを口に放りこめば春の海。
旬のしらすが春をまたひとつ連れてきてくれた。
しらすは丸ごと一匹食べるので、たくさんカルシウムを摂取できるありがたい食材。コレステロールを下げるEPAがふんだんに含まれているので健康食材としても年齢問わず人気が高い。
そろそろ、各地の漁場ではしらす漁が解禁だろうか。
漁船に乗って見学させてもらったしらす漁。
美味しかったなああ
骨を強くし、イライラを押さえるカルシウムを多く含んでいるシラス。
最近ストレスフルと運動不足のgon麹にとって必要な食材である。
しらす同様、春の味である蛍イカ。
くぅうう。ぷっくりした身を噛み締めたら……ジュワンと染み出る旨き香り。
くぅいいっと一杯ひっかけたい気分になりそうだ。

こちらで使われている野菜はほぼ自家栽培のものである。
シェフは若い頃、イタリアの各地で修行したそうだ。そのときの経験で、使う食材はできるだけ自分達で栽培したもの、自分の目、手、鼻など五感で見極めたものを使いたいと思い、野菜は地元の群馬野菜を育てている。
愛情もたっぷり注がれたのだろう。
どの野菜もみんないきいきとしており、そして味が濃い。



サラダだけで満足できるが、やはりランチコースのメインのパスタもいただかねば!

蕾菜のアーリオオーリオ。
アーリオオーリオってよくイタリアンで目にするお料理名だ。
ヨーロレイヒ〜♩と歌いそうな語呂合わせだが、イタリアではニンニクをアーリオ、油、オリーブオイルをオーリオというそうで、蕾菜のオリーブオイルニンニクパスタということである。
ニンニクの香りが満足しかかけた食欲を揺さぶり、胃袋を動かしていく。
あぁ、危険だ。危険だ。
ニンニク。そして芳醇な香りの滑らかなオリーブオイル。
ツルツルツルツルとパスタはエンドレスに口の中へ吸い込まれていく。
蕾菜も柔らかく、そして青々しい若さがいっぱい。オリーブオイルの衣を纏い、より一層、味に深みがでている。



お腹も満足心も満足。
されどやっぱり、デザートは……別腹(*^◯^*)。
チーズのプロフィトロールにイタリアのドーナツ。そしてダブルベリーのアイス。
プチ可愛いプロフィトロールのチーズが胃袋を優しく撫でてくれる。
あぁ〜 食いしん坊って食いしん坊って
万歳ーーーー☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

ランチだけでも大満足のお料理の数々。
もちろん、店内の雰囲気も
アットホームで居心地がいい。
前橋市の郊外にあるというのも
非日常的な時間を過ごすには
もってこいの場所である。



 
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DATA)
店名:RistoranteSorgente
住所:前橋市三俣町1丁目1-11 102
電話:027-237-0834
営 :11:30~14:00(L.O) 17:30~20:30(L.O)
休 :木


フライング!? 初カツオがやってきた。

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「目には青葉 山時鳥 初松魚」
山口素堂の俳句は有名だ。
この俳句の時期だと5月、6月の新緑時期となるが……
今、目の前にあるのは!!!



初かつおである。

早いなあと思いつつ、メニューに書かれていたら、もちろん注文。

初カツオは日本人、特に江戸時代はことのほか珍重していた。
江戸においては「粋」の観念が人々の意識のなかに強くあり、
‘初もの’信仰は老いも若きも金持ちも庶民も過熱し、
なかでも初カツオは非常に高値となる時期があった。
「女房子供を質に出してでも食え」といわれたぐらいである。
今、それをしたら、とんでもないことになるのは間違いない。(恐くてできない旦那ばかりだろうが)

春の訪れがようやく届きだしたお江戸。
冬の寒さが半端なかっただけに、初カツオも急いで泳いできたのか。
ちょっと青葉はまだ目にできないが、時鳥ならぬ鶯の声をBGMに2013年の初カツオをパクリ。

むちむちっとした身が色っぽい〜。
唇の前でプルンプルンとふるえてる。
脂がのっているというよりは己の身の旨さが凝縮している感じ。
海の冬の寒さを耐えて旨味が乗ってるというべきか。
まずはそのままで。
次に生姜をちょっこしのっけて。
大葉にくるんで手巻き寿司のようにして齧ってもいい。
時鳥が鳴く時期がもうすぐそこにきているようだ。

「世界中で一番の雑食は日本人」と知り合いがいったとおり、
なんでも食べる日本人、色々な食材が四季折々に食べられる日本で生まれてよかった。
※雑食は中国人という人もいるが、生魚(海)のものを昔から食べていたのは日本人だろうと思ったので世界一の雑食は日本人と記しています(gon麹的見解です。あしからず)。

初カツオの他にももちろん、美味しくいただきまする。



今回お邪魔しているのは、赤羽の名店♪ 佐竹。
大将と女将さん2人でいつも笑顔で出迎えてくれる、素敵な場所。


和食だけでなく、創作メニューも多々ある佐竹。
トマトとチーズのアンチョビソースはお気に入り♡。
定番メニューにならないだろうか。
今度大将にお願いしてみよう( ̄ー ̄)ニヤ。



野菜たっぷりの鶏のつみれ汁が胃袋に優しい。
ちょっとここ数週間、内臓が反乱していたので汁ものはありがたい。
日頃の不摂生(暴飲暴食)が過ぎると、うちの内臓はタッグを組んで
「ストライキはじめます。よいですか?」と体調を絶不調してくれる。
身体の声はきちんと聞かないと。美味しいものを美味しくいただけませぬ。

温かい汁をたっぷり染み込ませた野菜も多めに装えば、ちょうど胃袋満室状態。

啓蟄の本日。
土の中の虫も春の訪れを感じてうごめきだす今。
美味しい春がほらそこに。
食いしん坊の腹の虫も元気に駆け出しそうだ。


 
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撮影協力: 佐竹

今欲するものは野菜♪…………豚も( ^ (●●)-)☆

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今日の気温は18℃予測。
4月中旬の温かさという春日。気持ちいい。
各地から春の便りが届くのを耳にしていると、食べたくなるのが
野菜。美味しい野菜が食べたいと本能が欲してくる。

そんなとき、お邪魔するのが
北区赤羽のAtsu Caffe'。

沖縄の食材をメインにイタリアンを楽しませてくれるこちらは地元客はもちろん、ファンも多い。
いつものように出かけると
給仕をしてくれる美人のお姉さんが笑顔で会釈。
厨房からはちょっと無口!?なマスターが「どうも」と挨拶してくれる。

お気に入りの場所が空いていたのも、なんだか嬉しい。

窓際のテーブルに座って、まずは



オリオンビールの生♪
温かくなるとオリオンをいただくと頭の中は〜お・き・な・わ〜♡
スナフキン根性もピンク色。



お目当てはこちらのバーニャカウダ。
アンチョビソースが食欲をさらに増幅させてくれる。
アイスプランツもはいってる。ヽ(=´▽`=)ノ
その後ろにあるのが、葉っぱ!???


@http://ryour.blog87.fc2.com/blog-entry-113.htmlより借用。

目を?としていたら、お姉さんが「それはおかわかめというんです」と教えてくれた。
?(゚_。)?(。_゚)? おかわかめとはなんぞや?
調べてみると、グリーンカーテンの植栽によくみられるもので、
その名のとおり、もちろん食べられる。
食感はちょっと固め。でも粘り気があるので、おひたしにするとわかめに似てくる!?のかもしれない。
今回はバーニャカウダーで温かいソースにつけて。
栄養も高く、マグネシウムレタスの8倍、銅はキャベツの8倍。カルシウムはピーマンの6倍もある。
亜鉛も豊富に含んでいる万能野菜。
今夏、ゴーヤじゃなく、おかわかめの植栽しようかなあ。( ̄ー ̄)ニヤ.
食べられるし……。

野菜を食べていたら、お腹もぐぅうっと鳴きだしたので♪



広島産の牡蠣とキノコのグラタン。
大きい岩牡蠣の殻にぷりぷりの広島の牡蠣が3つもはいっている。
チーズがたっぷりとろけたグラタンは胃袋を笑顔にしてくれた。



一度、食欲エンジンがかかると止まらないのが食いしん坊。
アグー豚とベーゴンのキノコのピッツァ。
沖縄の名豚、アグー♪
しっかりとした歯ごたえのアグー。
噛んでいるとジューシーなアグーの旨味が口のなかに広がる。
沖縄の美ら海のようにキラキラする脂。
アグー豚は一般的な豚と比べて
アミノ酸は2倍 ・グルタミン酸は3倍 ・コレステロールは4分の1。
美味しいうえにヘルシーなのは体型を気にする!?
食いしん坊にとってはありがたい存在( ^ (●●)-)=☆ブッフーン♪ 。
1ピース、2ピース、3ピース……
クリスピータイプの生地なので、気がつくと何枚も手にとっている。
美味しいものって止まらない。

身体が欲していた旬の野菜も沖縄の美味しいアグーも
我が腹のなかで仲良しこよし。

本日もお日柄よく〜旨き日。

 
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撮影協力: Atsu Caffe'

ヴァチカンとつながったWDー新教皇「フランチェスコ1世」即位に乾杯ー 

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コンクラーベ。
なんとも難しい顔ばかりが並んでいる光景を想像する単語だ。
カトリック教会の総本山、ヴァチカン市国のトップ、教皇様の選出されるときに
おこなわれる各地の枢機卿による教皇選挙のことである。
前教皇の死後、もしくは退位後、15日~20日の間に開かれるのだが、
今回は前法王ベネディクト16世が辞任されたということからはじまる。
生前退位は719年ぶりとのこと。
いやはや歴史長き世界である。


(http://www.s-hoshino.com/f_photo/roma/ro_024.htmlより借用)

コンクラーベの選挙権は80歳未満の枢機卿で、定員は120人。
使徒宮殿内、ミケランジェロの「最後の審判」で有名なシスティーナ礼拝堂でおこなわれる。
枢機卿、以前は日本人の枢機卿もいらっしゃったみたいだが、今回は該当者なし。
東洋系の枢機卿はいらっしゃったのだろうか? ちゃんとコンクラーベの映像をみていなかったので、
確認はできていなかったが、いてほしいなと思うのは東洋人の気持ち。

さて、コンクラーベは、ラテン語に由来する。
ラテン語のクム(共に、一緒にという意味)とクラービス(鍵、キーという意味)が合わさり一つの単語となった。
直訳すれば「鍵と共に」となるがなぜそうなったのかというと……。
はるか昔、ローマ時代の雄弁家キケロは「秘密の場所、あるいは建物の立ち入り禁止の場所」を「コンクラーベ」といっていた。
教会では教皇選挙が行われる場所と選挙者の集団をさすそうである。


(http://www1.hinocatv.ne.jp/katsu/italy.htmより借用)

このコンクラーベが教会で使われるようになったのは
1268年の教皇選挙からといわれている。
教皇クレメンス4世がお亡くなりになり、新教皇選挙のコンクラーベが行われた。そのときの枢機卿は18人だっそうだが、当時、バチカンでも権力派閥争いがあり、なんと決定権のある枢機卿がイタリア派とフランス派に分かれてしまい、教皇不在が3年間も続いた。
数カ月経っても決まらないので、業を煮やしたカトリック信者達は枢機卿たちを宮殿に閉じ込め、鍵で閉めて外部との関係をいっさい絶たせたそうだ。
そして食料もパンと水だけを供給。いわゆる枢機卿の軟禁である。
食料の量もどんどん少なくしたらしい。これはお偉い枢機卿の皆様もたまらなかっただろう。
最後は屋根の藁を口にいれていたという話もあるらしい。
閉じ込められた枢機卿は1271年、なんとか妥協し、
教皇グレゴリオ10世(イタリア)が誕生した。

ここまで語るんだから、gon麹はカトリック信者なの?といわれそうだが、
神道である。
しかーし!教会やヴァチカンなどの歴史や宗教には興味ある。
いつかヴァチカン市国にお邪魔できたらなあと、今はまだ頭のなかでスナフキン(放浪)を想像するだけだが、のんびりとバチカン市国を散歩したいものだ。

さて、そんなgon麹とバチカン市国とご縁がつい最近できた。
gon麹が枢機卿になった……わけではない。



3月14日。世間ではホワイトデーなる行事!?がしっかりと認知されだした日。
ホワイトデーということでいただいたもののなかに、ヴァチカン関連のものがあった。

ヴァチカンワインである。



ヴァチカンワインとはヴァチカンでの「ミサ」などで飲まれる。
世界でもっとも聖なる飲物として、
カトリック信者はもちろん、ワイン愛好者のなかでも飲んでみたいと思われているワインらしい。

今回、いただいたヴァチカンワインは
唯一のワイナリー マザーラ・デル・ヴァッロ司教区のもの。
『サンタ・メッサ』と『ノッツェ・ディ・カーナ』である。
この2銘柄はローマ教皇庁が東日本大震災から復興に励む日本に届けたいという思いで実現されたそうである。



まずは『ノッツェ・ディ・カーナ』を。
gon麹、ワインは詳しくないし不勉強である。

この『ノッツェ・ディ・カーナ』は豊かなタンニンが滑らかに流れ込んでくる。
葡萄の甘さが心地よく舌先でダンスをはじめる。心地いい春風のように気持ちを朗らかにしてくれる豊かな果実の香りだ。
ワイングラスに注がれた濃い赤紫色。
真紅の深い色合いがヴァチカン世界の気品さを感じさせてくれる。
グラスをゆっくり傾けるとしっとりと口に注がれた。
葡萄の品種の香りなのだろうか。ラズベリー?ブラックベリーのような渋みが一瞬広がるが
すぐにその渋みはカーテンコールに答えるかのように緞帳があがる。
果実の甘味を酸が優しく包んでくれている。
とにかく上品かつエレガントでありながら、どこか妖艶さがある。
まるでヴァチカン市国そのものがグラスのなかにあるようだ。


『ノッツェ・ディ・カーナ』とまず合わせたのが春一番の使者「生ホタルイカの刺身」
これが意外や意外、相性がいいのである。
生ホタルイカに生姜を少しくるんでパクリ。
生ホタルイカの旨味が口いっぱいに波紋を広げて
そこに『ノッツェ・ディ・カーナ』を飲むと
まるでシンデレラが王子様の舞踏会に出かけるときに魔法をかけてもらったように
美しさ(この場合は旨さ)が何倍にも輝きだすのだ。
旨さと旨さのハーモニーはさらなる旨き世界へといざなってくれる。
さらにヌタが絡まるともはや、口を動かすのも忘れてしまうほどの
柔和な春の世界が生キャラメルのように濃厚に深くなる。

ワインと生ホタルイカの刺身のマリアージュ!
こんな旨き世界があっただなんて♪ これもヴァチカンワインの、神様の思し召しか♪



トマトとモッツァレラチーズの野菜は間違いなく合う。
生で食べられる野菜の旨さは大地よりの恵み。ワインの旨さも大地よりの恵み。
恵みに感謝。美味しい時間を愉しめることに感謝。



鴨ロースは『ノッツェ・ディ・カーナ』の味をまた一段と押し上げてくれる。
柔らかく鴨本来の旨み。
噛みきるとあふれでてくる脂は旨さの秘密。



ふわふわの海老しんじょうはサクっとした衣に包まれた海老の味わい。
これはいつ食べてのクセになる。
もちろん『ノッツェ・ディ・カーナ』にも合う(*´∀`)b゚。


いつまでもスルスルと呑みつづけられるヴァチカンワイン。
『ノッツェ・ディ・カーナ』と日本食のコンビネーションのすばらしさを再認識した
ホワイトデーの一夜。

新教皇フランチェスコ1世の誕生の日に
なんだかの形でヴァチカンと関われたのも
なにか意味があるのかもしれない。

すべて……神のみぞ知るばかり。

追伸:gon麹ではローマ教皇と記していますが、一般的にはローマ法皇といわれています。なぜ2つ名称があるのかとカトリック中央教会のHP(http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/)を拝見すると下記のように記述されていました。
☆「ローマ法王」と「ローマ教皇」、どちらが正しい?☆
「新聞を見ると『ローマ法王』と書いてあり、教会の文書には『ローマ教皇』と書いてあります。どちらが正しい表記ですか?」 このような質問が多く寄せられます。簡単に説明します。

教会では「ローマ教皇」を使います。
以前はたしかに、日本のカトリック教会の中でも混用されていました。そこで日本の司教団は、1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一することにしました。「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表わすからです。

((φ( ̄Д ̄ )ホォホォ !なるほど。とはいえ、日本だけなのでしょうか。法皇と称するのは。ではなぜ法皇とよばれるのか……。gon麹の見解!?なのですが、日本は天皇陛下が在位される国。今日では今までのローマ教皇と同じように陛下が崩御された後、新天皇が即位されるのですが、江戸時代までは天皇は崩御されなくても、退位することはできていたのです。天皇が退位、譲位した天皇は上皇と呼ばれていました。さらに、その上皇が出家することで法皇となっていたのです。
『上皇』の出家後の尊称で正しくは『太上法皇』といいます。
ピンとこない方、古の天皇時代、幼い天皇が即位しても、政治がすぐきちんとできないために、退位、譲位した上皇が天皇に代わって政を司っていたのを大河ドラマやアニメなどで見たことありませんか?
一番わかりやすいのは、院政政治をした白河法皇と後白河法皇の源平時代です。
ちなみに、697年、持統天皇が文武天皇に譲位し『上皇』と称したのが日本初だといわれています。
このように、私たち、日本人のなかにある日本人としてのDNAの記憶に「法皇」=最高権力者、聖なる御上があるからこそ、カトリック教会が「教皇」と称しても、つい「法皇」といってしまうのではないでしょうか。まあ、gon麹の勝手に考えたイメージですので、きちんとした理由があるのかもしれません。あしからずご了承ください。m{_ _}m

 
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撮影協力: 佐竹

お花見前の腹ごしらえには……

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桜満開宣言のでた先週末。
桜の木の周りには桜を愛でる人が大勢集って
春の宴が朝、昼、夜、関係なく開催されていた。
桜をみつつ、美味しいものが食べたいと出かけたのが
木場のつちや。
近くには木場公園がある。

メトロを乗り継いで30分ほどでつくので、思いついて顔を洗ってでかけても1時間はかからない。
なんとも都内の交通網の発達には頭がさがる。

12時すぎだというのに、お客さんはまばらな店内。
「今日は桜には勝てないね」という女将さん。
ポカポカと温かく、陽射しもあるので、みんなお弁当をもって
花見ランチをしているらしい。
それも贅沢だ! 贅沢だが、つちやのカウンターを独り占めできるのも贅沢である。

そんな贅沢を満喫すべく、注文は「にぎり」。



巻物2つににぎり8つ。かなりのボリュームがある。
鮪を筆頭に春らしい彩りが目の前に並ぶ。
まずは目で愉しんで……という優雅な食べ方ができないgon麹。
お腹の虫が「食わせろー」と叫びだす。

握りをかぶりつきつつ、麦酒をクピィ。
うん、これぞ正しいランチタイムの過ごし方d( ̄  ̄)。

これだけでも十分に満足なのだが、目の前のネタケースに並ぶ光り輝く「コハダ」。
この「コハダ」が必死に訴えてくる。
「お( ̄o ̄)い( ̄△ ̄)お( ̄o ̄)い( ̄△ ̄) 食べないのかい!?」

こういわれたら、ね〜。



一皿、つまみとして追加注文となる。(o^∇^o)ノ

世の中の女性は光り物は大好きだろう。
gon麹も例外でない。食・べ・ら・れ・る光りもんは涎がとまらないほど大好きだ。
その中でも「コハダ」はトップクラスにはいる。
ほどよく酢〆された香りがまたたまらない。
光り輝く銀色の肌の間から見える桜色の身がつやっぽい。
1枚口のなかに滑らせると舌の上で飛び跳ねるように喉奥にダイブしていく。
涎シャワーは栓がこわれたようにとまらない。



多めにもらったガリを中にいれてコハダで巻けば(o゚▽゚)o゚▽゚)o゚▽゚)oコハダ!ガリ!巻!
コハダの酢とガリの酸味がまたいい感じでタッグを組んで
口から鼻にかけて爽やかな香りが通り抜けていく。

もちろん、食べるだけじゃ、もったいないのが食いしん坊&呑み助根性。



鹿児島の中村酒造場さんの「なかむら」を湯わりで。
この子は常温だとスマートな性格をもっている。
湯割りにしたり、燗にするとそのスマートさのなかに芋のもつ甘みの幅が大きくなり、
水をすったスポンジのようにしっとりさが倍増してくる。
そして旨味が波紋のように身体中隅々まで広がります。
※カルゲン農法とは化学肥料だけにたよるだけでなく、土地が本来もっている活力を向上させる農法。
モロッコで発見された天然硫化カルシウム層の土を農地に混ぜ、中性または弱アルカリ性の土壌にするという方法である。天然硫酸カルシウムをカルゲンといい、
この層ははるか昔から古代微生物が幾千年という単位で堆積した天然カルシウム地層である。
地球が気が遠くなるような年月をかけて、生み出してくれた恵みある地といえよう。

さて、ほっこりと酔い感じになってきた。
お腹も心も大満足で、ふらりと桜を愛でにまいろうか。

お花見前の腹ごしらえにぴったりのランチタイム。
桜はまだまだ咲いている♪


追伸:こはだガリ巻はきちんとつちやのメニューにあります。
巻物ですヽ(=´▽`=)ノ



 
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撮影協力: つちや




常に満席が当たり前。食も酒も理屈いらない、食いしん坊が集う酒滴な場所♪ 

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何年ぶりだろうか。1年、いや2年以上はたっているだろう。
四谷三丁目の萬屋(よろずや)おかげさん。

酒呑み&食いしん坊なら1度はお邪魔したい、再訪したい場所だろう。
ビルの地下を降りるとドアには「本日は満席でございます」という札がでている。
いつもなら、残念とUターンするところだが、今回は違う。

ドアを開けて、カウンターへ。
今日は山形県鶴岡市の竹の露酒造の相沢ご夫妻に連れてきていただいた。
神崎さんもおかわりなくお元気そうである。ここ数年、雑誌などでお顔を拝見しているので、
数年ぶりという感じがしない。

以前は「おまかせで」とお願いしていたが、昨年からか?萬屋(よろずや)おかげさんはコースのみとなった。敷居が高くなった?と思われる人もいるかもしれないが、ご安心あれ。
敷居なんぞ高くはない。旨さだけは昔も今も変わらずに、お客さんをお待たせしないようにという神崎さんをはじめ、スタッフの心遣いの現れである。



お通しはオリジナルの卯の花。しっとりとしたおからの食感に箸がとまらない。
「おかわりほしいなあ」とつぶやいていると、なんと大きめのお皿で再び卯の花をだしてくれた。
神崎さんの懐のでかさに食いしん坊、頭がさがる。

まずいただいたお酒はもちろん、



寒造り純米吟醸「白露垂珠」生酒。
白露は本当に癒してくれる子ばかり。
そのなかでもこの子は軽快な香りが
鼻の穴をとおって頭を癒してくれます。
美山錦100%綺麗な印象。
低いながらも酸があり、川のなかにゆらぐ水草のようにゆるやかに伸びて揺れている。
爽やかな香りと米のもつ甘さが元気よく口中を駆け巡りだす。



菜の花のおひたしは薄いおひたし。
春まっさかりの旬が心地いい。



活〆の真鯛は煎り酒の味付け。
煎り酒と聞いて、テンションがあがる。
愛読している小説の舞台に必ずでてくる、江戸時代の調味料として
味わいたいと思っていたものだ。
「日本酒に梅干しと花がつおをいれ、ことことと煮詰めてつくるんですよ」と神崎さん。
ほのかにかつお節の旨味、梅干しの酸味と塩けが生魚や野菜の味を引き立てることから、江戸時代の食卓では欠かせない調味料。
程よい酸味と香りで醤油をさすよりもこのほうが素材の旨さを消さない。
主張しすぎない名わき役という感じだ。



もちもちっとしたさつま揚げは春ウドいり。
じゅわんとした汁が舌の上でひろがり、柔らかいウドの食感を愉しめる。
季節の食材にはその時期に必要な栄養素がたっぷりある。
うどは、ビタミンB1、B2、カリウムが含まれている。
ビタミンB1は糖質の分解を助け、効率よくエネルギーにしていくために欠かすことのできないビタミン。そう、人が活動をする上で必要な栄養素なのである。しかも糖質分解ということは、ダイエットにもいいという、女性にとってウフフとうれしいもの。
さらに筋肉の疲労を防ぐ働きもあるのが、ありがたい。(筋肉をつかわずに疲労している自分がいうのはどうかと思うが……)
ビタミンB2には脂質や糖質の代謝を促すと同時に肌荒れや口内炎などの予防するという効果がある。疲れたら、栄養ドリンクというのもいいが、旬の食材で必要な栄養素をとるほうが、きっと胃袋も身体も喜ぶはず。せっかくの春なのだから、今、芽吹いてくる新鮮な食材を食べないと。
では、いつ食べる?……今でしょう!

おかげさんの料理ははじまったばかり。
満席の店内。どのテーブルからも楽しい声が聞こえてくる。



そんな声に反応するように、厨房でもくもくと料理をつづける神崎さん。

南三陸の生わかめのポン酢は箸休めになる。



肉厚で噛見応え十分。カルシウム、ビタミン、ミネラルがたっぷりで、
身体中が細胞レベルで喜んでいる。



おかげさんというとなんといっても一手間二手間かけたお刺身である。
唐津の鰆は先ほど神崎さんが厨房で炙っていた藁あぶりしたもの。
松浦の真鯖はほどよい酢〆がされている。
そして!勝浦の金目鯛はからすみがけ♪
からすみだけでも一杯くぃっといけそうなお味。
たまらな〜いと目を細める贅沢すぎる一品である。



おかげさんのお客さんも白露をお気に召されたようで、
おかわりコールが各テーブルよりかかる。
さすが白露垂珠♪ 竹の露♪

もちろん、こちらもおかわりコール。
思わず、手酌!?で一升瓶を自分の杯に注ぎそうとなり、みな爆笑。
そうそう、ここはお店である。ちゃんとお金払う分だけいれないと♪
神崎さんも苦笑しつつ、片口になみなみといれてくださった。



とにかくスルスルと飲める白露。
身体に染み込む酒というのはこういうことをいうのだろう。
乾いた砂に雨水が染み込むというのではない。(確かに乾燥肌であるが)

山奥の岩に雨水が染み込んでいくという感じだろうか。
じんわり、ゆっくり。それでいながら確実に芯まで浸透していくという感じである。
それは細胞、ひとつひとつに鶴岡の地の声を届けるようにふわんふわんととけ込んでいくのだ。



「メニューにはないけど、鮃もどうぞ」と目の前に白く輝く鮃がでてきた。
あぁ、もう酒が止まらない。
相沢社長もうれしそう。こづえ女将も美味しそうに食べている。
もちろん、gon麹も……!パクリと贅沢に一枚、そしてもう1枚。



春らしく真蛸の桜煮。
ほどよい柔らかさがある。



筍の木の芽あえに



酒呑み必須のなめろう!

もう言葉はいらず、ただただ、食いしん坊という本能に突き進んで箸を動かすのみ。



いぶり豆腐にもろみ豆腐でしっかり発酵食品も追加して健康万全。悪酔い防止♪

※この一皿だけで何杯もいけるのは……間違いない。

食べたなああとおもって顔をあげたとき、
厨房では神崎さんがお釜で炊いたほっかほかのお米で塩むすびを握ってくれていた。



どんな人でもこの塩おむすびの大ファンとなるというおかげさんの塩むすび。
日本人に生まれて、お米文化圏に育って幸せだと世界中に叫べる味である。
日本人の主食がお米からパンに変わってきたという情報を多く耳にするが、
やっぱりDNAが求めるものはうまき米、うまし米。お米だろうとgon麹は思う。

懐かしい食べ物の思い出といって、誰しも母親や父親、親しき人が愛情こめて握ってくれた
「おにぎり」を思い浮かべるだろう。

形はいびつでも、その味は、ホッとできる安心を与えてくれるもの。
記憶の故郷である。

春である。お天道様の下、あぜ道に座っておにぎりをほおばる……というのもいいなああ。
白露垂珠の故郷、山形、鶴岡市の羽黒山の麓の田んぼを眺めながら、
おにぎりとお漬け物をつまみつつ、白露を一杯飲むというのは
最高の贅沢だろう。

あぁ、想像したら、行きたくなってしまった。
もう春だし……。そろそろスナフキンで春の鶴岡へ出かけますか。
桜もちょうど咲き出したようですし♪



素敵な相沢ご夫妻に会いに
白露垂珠の故郷へ。


美味しいものをいただくと、素敵な計画もどんどん思いつくもの。
いつきても、何年たってきても
萬屋おかげさんはお邪魔するたびに幸せをたくさんくれる。
食も酒も理屈いらない、美味しさと愛情あふれる人が集う酒滴な場所。
だから常に満席なのである。




 
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DATA)
店名:萬屋おかげさん
住所:新宿区四谷2-10 松本館B1
電話:03-3355-8100
営 :18:00~22:30(L.O22:15)
休 :日祝月
備考:予約がベスト。カウンターの他にテーブル席あり(掘りごたつ式)。行きたいと思ったのなら早め早めの予約すべし!

懐かしき人と出会える 秋田横手酒物語〜葉石かおりさん酒語り〜

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桜が咲き出した3月のとある日の新宿。
ホテル25FのダイニングBARで酒物語が語られた。
語り部は葉石かおりさん。
日本酒業界のみならず、幅広い酒世界に精通し、
数多くの呑み助にすばらしき酒縁をつなげてくれる人である。



葉石さんが今年から新しく活動されているのが‘酒語り’。
自ら書き下ろした日本酒に関係した物語を2時間という会の中で聞かせてくれるものだ。
今回は秋田県、横手。「秋田県横手市の地酒を味わう会」である。
阿櫻酒造、浅舞酒造、日の丸醸造、備前酒造、舞鶴酒造の純米酒が集った場所は
新宿プリンスホテルの和風ダイニング&バー“Fuga(風雅)”。
夜の帳がおり、新宿の街が輝きだした頃、会は始まった。



今回の会用に特別に用意された料理はなんとも上品でかわいらしいものばかり。
女性会ということもあるのだろう。
盛りつけも美しく、お腹がすいたとパクつくのがもったいなかった。



まず出された旬菜には
うるいとあおさ海苔の磯浸しに昆布〆胡瓜と烏賊一夜干し味噌漬けハロートニーチーズがけ
そして、のれそれレモン酢に穴子八幡焼き。

のれそれレモン酢はアテに最高だ。
これを食べるためにも、横手の酒を取りにいかねば。



まずいただいたのは浅舞酒造の『特別純米酒 美稲 ささにごり』。
これは飲みたかった。若くして旅立たれた柿崎秀衛社長への献杯もこめて……。
グラスに薄く濁った酒が注がれる。
全量純米酒、全量古式槽しぼりの蔵ならではの槽口、そのままのうすにごりは
ほのかに感じる酸で飲みやすく、白ワインを思わせる。
それでいながら余韻の幅はスマートかつ、田の横を流れる清涼な小川のように勢いがある旨味。
冷えているからだろうか。サクっと舌の上に立つ味は
どこかほろ苦いながらも春風が舞うように消えた。



横手の世界ということで用意されているテーブルには漬け物が多種にある。



中には見たこともないものもあり、思わずこれは何だ?と箸を止めてしまうものも。
名前を聞いたがすっかりど忘れしてしまったが、これは酸っぱい。
疲れた体に喝をいれてくる。



備前酒造の『純米大吟醸 生原酒 大納川』と『特別純米 生原酒 大納川』をチョイス。
特別純米の子はとにかく余韻が綺麗だ。
旨味のなかの米の味が複雑な雑味として感じる。
芳醇な香りが喉奥から立ち上り、うっとりするくらい酔い感じだ。



お刺身には 生鮪とさごち焼き霜。
あぁ、いつものgon麹なら秒殺の量であるが、今日はおしとやかに化けているので、
デカ口をおちょぼ口に。

小一時間たったとき、葉石さんの酒語りがはじまる。



横手の地を舞台にした父親と娘。親子の話だ。
小さい頃に訪れた秋田、横手の地の横手の地酒と地の味が
昔と今をつなげる世界。

主人公の記憶の思い出を聞きながら、いつのまにか主人公を自分にだぶらせていた。



大人になったら、一緒に飲もうという約束。
そう、自分の父親ともそんな約束をしていたっけ。
20歳すぎて、乾杯したのはビールくらいだっただろうか。
うすぼやけている記憶が記憶の海からうっすらと現れてくる。

阿櫻酒造の『純米吟醸 無濾過生原酒 美郷錦仕込』を口にしたとき
まるで目の前に父親がいるような感覚を覚えた。

「これ美味しいな。美味しい酒を一緒に呑めてうれしいな」
そう、父の声が聞こえた。

果実系の味がそういう記憶を呼び起こしたのだろうか。
当時、父が作りだそうとしていた果実のようなみずみずしさをもちつつ米の旨味の酒の味に似ているような気がした。

「こういうのは女の人は好きなのかな」と試験瓶の中にはいった表記のないお酒。
味見をしてくれといわれていた20歳の自分。
面倒くさくて、後で後でやるからと、その瓶を置いていった光景を思い出した。
なんであのとき、ちゃんと答えてあげなかったのだろうか。
「後で後でやるから」
この言葉ほど無情なものはない。

父が旅だってから、もう10数年か。
いまさらながら、父の存在がいかに大きかったかということをひしひしと感じる。
親子としてのあり方もそうだが、
酒業界の世界に足の小指をつっこんだくらいの生活をしている今の自分。
あの父の知識、感覚、味覚、本能がここにあったらと、いつも嘆くばかりだ。

色々な機会やご縁で様々な蔵にお邪魔するとき、
小さい頃から見覚えある器具やタンクの並ぶ貯蔵庫をみると
すぐ近くに父がいるのではないかと、つい探してしまうこともある。
同じような体格の蔵人をみたときは、思わず駆け寄りそうになることも。

『特別純米 無濾過生原酒 秋田こまち仕込』は素朴な味わいが素敵だ。
某蔵のとある銘柄を父と一杯だけ、新橋のお店で呑んだ記憶を思い出した。

ふいに笑顔がこぼれる。
そうそう、あのとき酔っぱらいのおじさんと仲良くしゃべっている父がいたんだっけ。
お酒のことになると本当に嬉しそうだった。

いつのまにか、葉石さんの酒物語は終わっていた。
横手の話を聞きつつ、父と会話も楽しめた。



筍土佐煮、ぜんまい信田巻、鰯つみれ、桜麩、木の芽。

お皿のなかに春の味が集う。
この一皿にチョイスしたのは……



舞鶴酒造の『山廃田从 生詰 20BY めんこいな仕込』と『純米吟醸 月下の舞』。



『山廃田从 生詰 20BY めんこいな仕込』は燗にしてほしいヾ(*≧∀≦)ノ゙。
燗がつくまで『純米吟醸 月下の舞』をのんびりと。

盃に口を近づけると涼やかな香りが鼻の中を通り抜けていく。
しっかりある旨味は口のなかで積み木を重ねあげていくようにひとつひとつ確かに高くなっていく。
それでいながら、後口のキレ方もいい。スパっと切れるのではなく、たなびく羽衣のようなふわりとした味の衣がゆれている。爽やかな青リンゴのような香り。何歳か若返りそうな予感。
舞鶴酒造の杜氏さんは工藤華子さんである。
蔵元の長女として生まれ育った。
「小さい頃から酒蔵が遊び場で蒸し米を食べたりしていたんですよ」と話をしてくれる華子さん。
蒸し米の香りやタンク内で発酵する醪の音があふれる蔵は小さい頃から当たり前の世界だったそうだ。

思わず笑顔になってしまう。
自分の小さいときの記憶とダブル。
彼女が醸す子は「米の旨みにこだわる」ことにはじまるらしい。
秋田県で県初&県内唯一の女性杜氏である彼女の醸すのは「田从」と「月下の舞」。あくまでも純米酒のみを造りだしている。
純米酒のみというこだわりも、様々な事情があった上で決断されたそうだ。
「長女である私が継がなければこの蔵は無くなってしまうと思ったとき、この蔵の大切さに気付きました。様々な先人が造りだし、地元の人々に支えられてきた酒という歴史を途絶えさせてはならない。飲み継がれてきたうちの蔵でしか造れない酒を造りたい」。

秋田は美人どころである。秋田美人というと男女関係なく憧れる存在だ。
工藤華子さんはまさに秋田美人。
色白というのももちろんそうだが、きちんと意思をもつ芯のしっかりとした女性。凛とした強さがある秋田美人だ。もっといろいろお話を聞きたいとおもっているとちょうど『山廃田从 生詰 20BY めんこいな仕込』の燗がついた。
徳利に手を伸ばそうとしたとき、ただよう『山廃田从 生詰 20BY めんこいな仕込』の燗の香りにノックダウンしそうになる。
ど、どぶとい香り。恐る恐る盃に注げばうっすらと黄色く色づいている。
奥深い旨みに強さのある酒。
しっかりとした米の味をさらに力強くさせているのは熟成させた年月だろう。
酸味と香りがうまく調和し、幾重にも旨味をふくらませている。
じっくりと熟成された厚みは幅をきかせながらもフッと霧が晴れるように道が開けることもある。
なんともいとおもしろき性格をもってる子だ。
もちろんどっしりとした存在感は今回、出会っている子のなかでピカ一。
どっしりしているにも関わらず、長くのんびり飲めそうだ。
熟成でさらに米の旨味に温めたキャラメルの甘味さが感じる。
燗の温度が戻ってきたら、その甘味がさらに酒の丸みを大きく広がる。
秋田県の横手という土地の雄大さを思わせるかのように。



焼物としてでてきたのは、
金目鯛柚庵焼きに蛤クリーム、タラの芽、花山椒。
蛤のクリームをひとすくいして金目鯛にかける。
金目の色鮮やかさは見た目も豪華。
蛤のエキスがたっぷりあるとろみあるクリームはふっくりした金目鯛の身の奥へと染み込んで、
香ばしさのある旨味と柔らかな甘味がうまさを倍増させてくれる。



づけ鰹と汐トマトのサラダ、新オニオンEXバージンオイルの一皿は
野菜に恋してやまないものにとっては嬉しい一皿。
それにしても本当にお上品な盛りつけ。
普段のgon麹なら「たーらーん!!!」と騒ぎそうだが、
いかんいかん。ここは新宿の高層ビルの25F。酒物語の会である。(;´∀`)…我慢我慢…



〆にいただいたのは日の丸醸造の『まんさくの花 純米吟醸 吟丸 生酒』。
『まんさくの花 純米大吟醸 首席県知事賞受賞酒』は乾杯酒としていただいた。
若き貴婦人を思わせるみめ麗しい子であった。 雑味はほぼなく、どの部分も均一に整った世界は
白銀の輝けるイメージである。透明感あふれつつも位のたかき尊き若き女性……社交界デビューしたうら若き乙女のような感じだ。

『まんさくの花 純米吟醸 吟丸 生酒』は吟醸香がほんのりたち、スマートなラインが2本。シンメトリーのように口からとびだしてくる。それはどこまでも伸びていく。酸味はそこまで感じない。それでいながら、口当たりはさっぱりとして飲みやすい。飲んだ後、口のなかにのこる余韻が初夏の木々のなかを駆け抜ける爽風のように軽やかに舞う味わい。もちろん米のもつ旨さはお行儀よく並んでいる。



〆としてでてきたのは秋田の麺! 稲庭うどん。
なにを隠そう、麺にうるさーいメンクイgon麹。
この量なら1分で消えちゃう♪ あ、いつもならのお話。
ここはお上品にいただこう。



秋田県南部の手延べ製法の干しうどん。日本三大うどんのひとつ。
稲庭うどんが誕生したのは江戸時代初期だといわれている。
小沢地区に住んでいた佐藤市兵衛という人が地元産の小麦を使い、
干しうどんや各種麺類を製造したそうだ。
その麺の味はいままでの麺と異なり、上品すぎるといわれたほど。
その技を佐藤吉左衛門が引き継ぎ、より技術改良に努めた。
この麺の噂を聞きつけた藩主がどうしても食したいという流れとなり、稲庭うどんは藩の御用を賜るまでになったといわれている。
地元の小麦粉を用いた麺とはいえ、生産量は少ない。
もちろん、一般庶民が口にすることなどほとんどない高級品だった。
そんな稲庭うどんが秋田の特産品として知られるようになったのは
明治時代以降である。
江戸時代に藩や将軍をうならした麺は宮内庁への献上品となり、数多くの賞を受賞した。
稲庭うどんは一子相伝といわれ、その技と心は稲庭の里で今も脈々と受け継がれている。

稲庭うどんを食べ歩きしたいなああε = ε = ε = ヾ( 〃∇〃)人( 〃∇〃)ツ うどん、うどん。

あ、話がずれた。元の世界に戻ろう。



「秋田県横手市の地酒を味わう会」、葉石さんの酒物語もそろそろ終わりである。
2時間ばかりの秋田横手の世界。
桜咲き誇る東京で、懐かしき父の存在も感じた、嬉しい幻のひととき。
そんな機会を与えてくれる葉石さんの酒物語の酒語り。
また参加してみよう。

父との再会を期待して……。



 
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DATA)
葉石かおりさん酒語りについては葉石さんオフィシャルブログでご確認ください。
http://ameblo.jp/haishi-kaori/(葉石かおりオフィシャルブログ「美酒らん」

会場情報
店名:和風ダイニング&バー“Fuga(風雅)
住所:新宿区歌舞伎町1-30-1 新宿プリンスホテル 25F
電話:03-3205-1111
営 :11:30~15:00/17:30~翌1:00(L.O.翌0:30) 日祝11:30~15:00/17:30~22:00(L.O.22:30)
休 :無

旬の情報発信酎!ワクワクできる酒店は行橋にあり♪

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福岡県行橋市。
ここで出会った一軒の酒屋は訪れるものをワクワクさせてくれる。
大正15年から続く、うらの酒店である。
現在は4代目店長、浦野晋介さんが切り盛りしており、
彼の人柄をしたって、地元客はもちろん、県外から足繁く通う人も少なくない。
gon麹もそのひとり。
こちらにお邪魔することが一つの目的になっている。

近未来のような行橋駅に降りて長狭川を渡る。
川沿いにある白い建物がうらの酒店だ。


明るい店内。そこに並ぶはもちろんお酒♪
ワインに焼酎、泡盛。奥の棚に日本酒と揃う。

こちらで扱う銘柄は様々だ。
日本酒にしてもなじみのある子も多い。
というか、九州の地でこの子に会えるの!?という全国の蔵の子も少なくない。



もちろん、九州の地酒のラインナップもしっかりしている。
寒北斗、山の壽、鍋島、若波、天吹、古伊万里 前 さき、天山 岩の蔵、鷹来屋五代目、豊潤、ちえびじん、東一……まだまだ並んでいる。(詳しくはうらの酒店HPで)

お酒ひとつひとつには店長自らつくったポップがあり、
それを読んでいるだけで楽しい。

「お客さんにおすすめは?とたずねられたとき、そのお客さんが普段からどのようなタイプのお酒を飲まれているのかをお聞きしてからおすすめを選びます。最近はお酒に詳しい方が多いので、おすすめしやすくなったと同時に難しくもなりました。自分よりコアなことを知っている人も多いので。そういうときはお客さんといつまでもコアな話をで盛り上がってしまうんですけれど(笑)」

そう、こちらにお邪魔する人は、浦野店長と話がしたくて通うという人が多い。地元の人も県外の人も。もちろん、酒を購入するために酒屋に行くのだが、1本購入するのに小一時間も根が生えてしまうのがほとんどだ。

店長はとにかくアクティブで熱い!
「九州は日本酒と焼酎が当たり前のように並ぶ世界。他県(九州以外)の人からみたら、希有な地と思われるかもしれないけれど、自分たちにはあたりまえ。ここは当たり前のようにどんなシチュエーションでもサクっと日本酒がでたり、焼酎をのんだりする。最近はそういう光景も増えてきたけど、もっともっと増えてほしいな。あ、まずは行橋の居酒屋さんが地酒をもっと知ってほしいかな。もっと営業しないとね(笑顔)」

行橋〜の居酒屋さ〜ん。地酒もっとおいてくれーーーーー!・△・)ツ・o・)ノ・△・)ツ・o・)ノ彡☆ぉ〜ぃ

いろんな話をしていたら、あっという間に一時間はすぎていた。
今回もすっかり長居組。
そろそろ電車の時間もあるのでおいとまタイムとなってしまった。

もちろん、手ぶらで帰るなんてとんでもない。
一緒に連れ歩く子と家に送る子を笑顔で悩んでお支払い。

焼酎も泡盛もスリスリしたい子がいっぱい。
あぁ、久米島の●●●もあるぅうううう。。(ёё。)(。ёё)。

長居すればするほど、うちくる?病が出てくるゞ( ̄∇ ̄;)ヤバイって!お財布スリム。
名残は惜しいが、ここに居付くわけにもいかない(本当は居付きたい)ので、おいとまを。

と、目に飛び込んできたのは♪



うずらの燻製卵。v(。・・。) これ、最高のおつまみ♪
「これも!追加!」


本当にわーくわくさせてくれる場所である。
こいつは近いうちにまたお邪魔するのは間違いない。



※うらの酒店さんは各蔵元さんからの信頼も厚く
酒の伝道師として日々、うまき酒情報を発信している。





 
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小倉からはソニックで一駅! 特急自由席券は300円。ブルーとホワイトがあるので、できれば両方乗れるウキウキ度はさらにあがる♪gon麹はホワイト派♪

DATA)
店名:うらの酒店
住所:行橋市行事7丁目5-12
電話:0930-22-2673
営 :9:00~19:00
休 :日
URL : http://www.urano-saketen.com
http://urano.seesaa.net (店長ブログ)
備考:酒関連のイベントもあり。詳しくは店長ブログなどでご確認を。

タンクに耳をあてて……父との思い出

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蔵にお邪魔すると一番懐かしいと感じるのが、タンクが並ぶ貯蔵庫だ。

どの蔵にいっても、一番長く、眺めている場所じゃないだろうか。
「お酒を造ってないときでもここは働いてるんだよ」
かつて父はそう教えてくれた。
そして、タンクに耳を当てて楽しそうにしていた。

子どもだった自分は何をしているか
まったくわからなかったけど、
面白がって父の真似っこをしていた。

シーンとしている蔵のなか。
まるでこの世から音という音が消えてしまったような感覚。
静寂さが恐怖心を芽生えさせた。

「こわい」
本能だろう。思わずそう口走った。

そんな自分の声さえ、
タンクに耳をつけたままの父には届かないようで
目を閉じたままタンクにくっついてた。

大好きだった父をまるで大きなタンクに取られたようで不安になったのだろう。
早く父と共に蔵の外にでようと、一生懸命、服を引っ張ってダダをこねた記憶がある。

「そんなに引っ張らんといて(笑)」
父は苦笑いしながら、ようやくタンクから離れてくれた。


あれから何十年も経た。
怖かったタンクの貯蔵庫も
何時も足を運んだ。

かつて父がやっていたように
そっと耳をあててみる。

ヒンヤリとしたタンクの冷たさが
頬に伝わってくる。

目を閉じてじっとしていると
タンクの中にあるお酒が揺らめいている感じが頭に浮かんできた。
絞りも終わり、出荷の時期を待っているお酒。
火入れしているので、酵母や麹もそこにはいない。
だけど確かにタンクのなかで、お酒が蠢いているのをタンクの壁を通して感じる。

その蠢きが揺らめきの波動がこそばゆい。
ついつい笑ってしまった。

そう、父が笑っていたように。

あのときの父も今の自分と同じように
こそばゆかったのだろうか。

父が旅立ってから10数年たった。
蔵の静けさが恐ろしく、「はやく出ようよ」といっていた昔とは異なり、
今では「もっといたい!!!」と別の意味でダダをこねるようになった。

そんな様子を父はきっと笑っているだろうな。
「ほれみたことかっ」と、したり顔で。


献杯。



 
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「ただいま」故郷に帰ってきた気持ちでほっこりと。鹿児島&奄美の本格焼酎に島料理に箸のばす♪

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一見、スナックのようである。
しかしカウンターの上に並んでいるのは、
鹿児島の芋焼酎と奄美の黒糖焼酎である。



カウンターの奥には大きなテレビ。
野球の試合が流れている。おりしも阪神巨人戦。
食い入るようにそこに視線を合わせて、いつものテーブル席につくと
「いらっしゃい、ビール?」と、マスターがおしぼりをだしてくれる。

ここは奄美の食材を食べられる場所だ。
しかもベタで素朴なものばかりで、凝ったものはほとんどない。
それがたまらないのである。

ビール(お酒)につく一皿はその日その日で変わる。



鯖の味噌とゴーヤだったり



蛸とパパイヤの海鮮サラダだったり。
島の家で、でてくる家庭のおかずの一皿なのだ。
この一皿だけで満足できるが、やはり奄美の食も食べたい。

そこで必ず注文するのが



奄美晩酌セットである。

奄美大島から直送の五品を盛ったもので、
豚味噌にパパイヤ漬け、アーサー卵焼きにランチョンミート、島らっきょ。
これで800円というから驚きだ。

昼間の暑さをビールで流せば、やはりここは焼酎で。
グラス売りもあるが、お得なのはボトルキープという術である。
※ボトルキープできる銘柄とできない銘柄があるので、そこはマスターに確認してください。



もちろん、飲みたい銘柄を一杯ずつというグラス注文も可能だ。
黒伊佐を湯割りで♪ 
まあ、いつものパターンである。
お湯7、焼酎3の割合でほっこりと。



今日のメニューの張り紙に「パパイヤサラダ」を発見。もちろん注文である。
シャキシャキしたパパイヤの食感。
繊維質が豊富なのは有名だが、酒呑みとして見逃せないのがパパイヤのもつ効能である♪
パパイヤにはイソチオシアネートいう成分が含まれており、
このイソチオシアネートは毒消し効果があるそうだ。
肝臓の解毒酵素の働きを良くし、有害物質を無毒化してくれる。
つまり、解毒力の強いパパイヤを1日200gほど食べると効果が出て
一度食べると解毒作用は3日近く続くという。

奄美は鹿児島と沖縄の間の連なる島々。
南国特有の太陽の暑い陽射しと海からの風を受けながらも
奄美の人々は元気で健康である。

パパイヤもその元気の源のひとつといってもいいだろう。
シャキシャキと口のなかで軽快な音をたてつつ、芋焼酎をくぴくぴ。
BGMで流れるのは奄美の島唄。
ほろ酔い気分になったら、奄美の島にいる感覚になる。
その雰囲気に引き寄せられてか、
店内は常連客がほとんどだが
時折、ふらりと一見さんも訪れてくる。



表の看板にマスターのイラストの上に書かれた「おじゃったもんせ」。
これは鹿児島の方言で「いらっしゃいませ」という意味だ。
ほんに方言というのは心地いい。
コロコロと転がりながら、耳のなかに飛びこんでくる。
それは誰しもが心にもつ故郷という扉をノックする。
懐かしく、温かい。そして安心できるのだ。
そんな方言に誘われてか、今宵もまたひとり、一見さんが顔をだした。
マスターもママも笑顔で迎えてくれる。
常連客も笑顔で会釈。
一見さんも笑顔で会釈。
一杯のんだら、もう常連客となる。

マスターもママも会話に加わり、店内は笑い声いっぱいとなる。

「ママ、腹皮焼き」
注文がはいるとママは急いで厨房へ。
そこから流れ出す美味しそうなにおいは他の客の鼻をくすぐる。
「あーこっちも」「うちにも」注文ラッシュ。

もちろん、自分も。
「枕崎カツオの腹皮焼き!」



皆、見事に撒き餌につられた一晩となった。

 
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DATA)
店名:ダイニングバー和
住所:北区赤羽1-41-6 サクセスプラザ犬飼2F
電話:03-3903-2535
営 :17:00~24:00
休 :火

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