湯川尚子さん。
酒呑みなら名前は聞いたことがあるだろう。
慶安3年(1650)の創業以来、長野県木曽路の地にある老舗酒蔵、湯川酒造の16代目。
女性蔵元である。
gon麹もここ数年で酒イベントなどで何度かお会いするたびに
いつかこの人の生まれ育った蔵にお邪魔したいと思っていた。
そんな思いが叶ったのが今秋のこと。
造りはじめの頃のことである。
とにかく長野の木曽路は山深き場所。
昔の街道の地とは聞いていたが、蔵は山と山の間に伸びる薮原宿の一角にあった。
大きく木曽路と彫られた看板と酒林(杉玉)、
そして大きな信楽焼のお狸さんが目印である。
引き戸のチャイムを押して中を伺うと、尚子さんのお母様が出迎えてくれた。
風格ある屋敷のなかの土間を歩き、奥の酒蔵へ。
時刻はAM9:00。
蔵の二階では大きな甑で酒米がふっくらと蒸されていた。
膨れた白布の上にある籠は高知の職人の手のもの。
今季の造りで新調されたものとか。
「籠のほうが持ち運びやすい」(丸山杜氏)。
蒸された酒米の蒸気が新しい籠を包み込み、炊きたてご飯の美味しそうな香りなかに
竹の青々しい香りがほのかに混ざっている。
二層になっている甑。
今回の蒸しで上層は60キロ。これは室に引き込まれる。
約1時間、じっくりと甑で蒸される酒米。
蒸し具合は酒造りに携わる蔵人全員で確認。
蒸し具合を見る「ひねり餅」だ。
少量の蒸し米を手に取り熱いうちに
手のひらでひねって餅をつくり、そのひねり餅で蒸し上がり具合をみる。
蔵元、杜氏、蔵人関係なく、皆手にとり確かめる。
いい蒸し具合と判断したら、専用のスコップで甑から蒸米を掘り出す作業に。
スコップで籠などに入れこむ、いわゆる‘掘る’作業。
大体、籠1杯5キロ弱。
室にひきこむ作業は時間との勝負。
男はもちろん、女でも弱音なんていってられない。
甑と室の間を蔵人が代わる代わる往復する。
秋とはいえ、外気は肌寒いはずなのに、引き込み最中の蔵の現場の空気は暑い。
お釜の下層で蒸されていた米は酒母用のかけ米となる。
蔵の酒母室は一階。
そこまで蒸した米を運ぶのは!エアーホース!大統領専用機!ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
エアシューターである。
そのエアシューターをセットするのは杜氏の仕事。
手慣れた様子で蔵の中に隠されていたホースを取り出してきて、
セッティング。
セットができたら、下層の蒸し米を放冷機へ。
一粒も無駄にしないように慎重に。
「うちの蔵のある場所は谷間なので、幅が狭い。だから上へ上への構造になるけど、
この構造がうちの造りにとってちょうどいい広さなんですよ」(尚子さん)。
ちょうど小学校の教室一部屋くらいの空間に甑と放冷機が並び、
その上を蒸し米がクレーンで飛んでいく。
サーカスのパフォーマンスをみているような感覚でワクワクするのは見学しているものだけ。
造り手はもちろん真剣である。
放冷機の上で蒸米をくるんだ布の下を開いて、いれる。
スイッチをいれると蔵中に響くゴゴゴゴオゴゴゴオオオゴオオオという機械音。
大きなおだんご状だった蒸米が放冷機の中で圴一な大きさで広げられ、
ほぼ一定の温度まで下げられていく。
「ほぼ圴一な温度にしないといけないから、なるべく大きな塊にならないように気をつける」という丸山杜氏。
放冷機のベルト上に動いている蒸米のすべてにぬかりなく目を光らせて、
少しでも大きな塊があれば、手にとりほぐし、圴一にほぐしていく。
まだ蒸米からは湯気が立ち上っている。
熱いはずだ。熱いはずだが、そんな気配すら微塵も見せない。
「熱いときでも熱いという暇なんてないんです」と以前、尚子さんに聞いたことがある。
造りは時間との勝負。特に‘蒸し’は温度があってのものだ。
なんでもすぐに「熱いからもてへん」とネコ手をアピールするgon麹。恥ずかしい……。
放冷機を通った蒸米をほぐしつつ、杜氏は匂いをかいで出来具合をチェック。
このあと、かけ米として
エアシューターで酒母室のタンクまで運ばれるのだ。
エアシューターは二階から一階へとタンクの上や他の機械の上にはりめぐらされている。
夏のウォータープールの滑り台みたいな感じで、
放冷機を飛び出したかけ米はあっという間に通り過ぎていく。
じぃいいっとホースをみていると白い米がビュンビュンビュンと飛んでいくのがよくわかる。
まるで運動会で各蒸米が酒母タンク目指してかけっこをしているような感じだ。
ε=ε=(* ̄ー)ノノ[タンク] ε=ε=(* ̄ー)ノノ[タンク]
あぁ一緒にかけっこしたい♪
酒母室では蔵人が小ぶりの電動櫂をもって、
かけっこしてきたかけ米のゴールを受け止めている。
勢いよく酒母タンクにダイブするかけ米。
「今回は120キロくらいのかけ米です。この酒タンクは200リットルなので今日は少ないくらいですね。まだ溶かしやすい量ですよ」(蔵人)
造り中頃になると150キロ以上だとか。こうなってくると電動の櫂で勢いよくかき混ぜても
なかなかスムーズにはいかないらしい。
二の腕が筋肉痛になるのでは?と見ているほうが心配になってくるが、
そこは蔵人。へっちゃらさーという涼しい顔で作業を続ける。
温度をみつつ、撹拌を続ける。
蔵で働くということは体力がないとできないことなのだ。
あぁ、運動不足気味のgon麹は1時間で音を上げるのは間違いない。
湯川酒造で使われている酵母は協会901号。
性質は協会9号と同じだが、醪で高泡を出さない酵母だ。
「酸は少ないけれど、香気が高いですね」(尚子さん)。
酒呑みだが、こういう酵母の話になると小学一年生レベルのgon麹。
ちゃんと知識いれておかねば。アセ(;~▽~;)アセ
かけ米のエアシューターかけっこはあっという間に終わる。
すると蔵人全員でホースの片付け。
ホースのつなぎ目を外して、元の場所へ。
片付ける前のホース内をのぞくとゴールできずに力つきたかけ米さんが……。
「おつかれさん」と思わず、声かけた。
さて、尚子さんは室に引き込んだ蒸米に麹菌をふりかける種きり作業である。
缶から飛び出す種麹。緑色に見えるのは一瞬だけで、
あっという間に蒸米の周りに消えていく。
振りかけたら、床もみ作業。
蒸米に圴一に種麹が付着するように何度もひっくり返す。
室のなかは約35度。
熱い、じっとりと汗をかいてしまう。
「寒すぎても暑すぎてもダメなので一番温度管理に気をつかいますね。でもこの米がうちの酒を造りだしてくれると思うと、そういう手間暇もへっちゃら……かも。あ、造りの初めだからいえるんですけれど。忙しくなると、もうヘトヘトになりますよ(笑)」(尚子さん)。
某CMで酒造りをする職人の手の美しさをとりあげていたものがあった。
尚子さんの手もそうなのだろうか……と、じぃいいとみていたgon麹。
その視線に感づいて、一言。
「床もみとかすると確かに肌にいいと思うけど、それ以上に洗米作業など水を使う作業が多いので、荒れてますよ(爆)」
という尚子さんの肌は間違いなく白くてきめ細かい。
仕込み水はもちろん、蔵で使われている水はすべて
広大なカラマツ林が広がる木曽山地より湧き出す井戸水。
透明度はかなりあり、冷たさも十分。
今夏のように猛暑が続いた日にごくごく飲みたい気分である。
作業が一通りできたら、掃除である。
使ったものすべて綺麗に水洗い。
「次の仕込みをスムーズにするために、湯川酒造の品質を保つために
掃除が一番大事だ」と丸山杜氏はいう。
その言葉どおり、掃除し終わった蔵はピッカピカ。
ここで造られる子は間違いないと「よくできました」という太鼓判が押せる。
湯川酒造の酒は二通りに分かれる。
都会を中心に人気がある『九郎右衛門』シリーズと昔ながらの『木曽路』だ。
地元の人は昔なじみの『木曽路』に手が伸びるらしい。
どっしりとした子で、旨味の幅が面白いほど広く、そして深い。
雑味というと語弊があるが、米ひとつひとつの味が面白いぐらい元気なのだ。
飲みやすいということはない。どちらかというとしっかりとのんびり、ちびりちびりと
いつまでも飲んでいる子だろう。
飲みやすさでいえば『九郎右衛門』のほうかもしれない。
こちらはこちらでいろんな味の世界をもつ子が多く、ストレートでもよし、燗酒にも向く。
「酒は賛否両論ある世界だけど、嗜好品なのだから、いろんな性格があっていいと思う。そのなかでうちの酒は、飲んでいる人が当たり前のようにいつでもサッと嗜んでもらえる子になるといいな」
湯川酒造16代目当主、湯川尚子さん。
造りは今からどんどん忙しく気がぬけなくなるだろう。
今年より造りの蔵人は丸山杜氏を含めて4人体制となった。
「少数精鋭でうちの酒は造りだします。23BYもよかったけど24BYもやっぱりいいね、といわれるように」
まだ秋色に染まっていなかった木曽の山々はもう雪がつもっているとか。
日照時間もどんどん短くなる。
今日も明日も明後日も湯川酒造の蔵からは蒸米の蒸気があがり、
タンクに櫂をいれる音が聞こえているのだろう。
今宵の一杯は、尚子さん達が醸し出した子に決めた。
※12月7日、双葉社より発売された『Bacchante』で湯川尚子さんを紹介しております。尚子さんがどのような思いで酒を造り続けているのか……。ぜひご覧ください。全国書店、都内コンビニ、アマゾンで購入可能。(http://bacchante.jp)
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DATA)
蔵名:湯川酒造店
住所:長野県木祖群木祖村藪原1003-1
電話:0264-36-2030
URL :http://www.sake-kisoji.com
酒呑みなら名前は聞いたことがあるだろう。
慶安3年(1650)の創業以来、長野県木曽路の地にある老舗酒蔵、湯川酒造の16代目。
女性蔵元である。
gon麹もここ数年で酒イベントなどで何度かお会いするたびに
いつかこの人の生まれ育った蔵にお邪魔したいと思っていた。
そんな思いが叶ったのが今秋のこと。
造りはじめの頃のことである。
とにかく長野の木曽路は山深き場所。
昔の街道の地とは聞いていたが、蔵は山と山の間に伸びる薮原宿の一角にあった。
大きく木曽路と彫られた看板と酒林(杉玉)、
そして大きな信楽焼のお狸さんが目印である。
引き戸のチャイムを押して中を伺うと、尚子さんのお母様が出迎えてくれた。
風格ある屋敷のなかの土間を歩き、奥の酒蔵へ。
時刻はAM9:00。
蔵の二階では大きな甑で酒米がふっくらと蒸されていた。
膨れた白布の上にある籠は高知の職人の手のもの。
今季の造りで新調されたものとか。
「籠のほうが持ち運びやすい」(丸山杜氏)。
蒸された酒米の蒸気が新しい籠を包み込み、炊きたてご飯の美味しそうな香りなかに
竹の青々しい香りがほのかに混ざっている。
二層になっている甑。
今回の蒸しで上層は60キロ。これは室に引き込まれる。
約1時間、じっくりと甑で蒸される酒米。
蒸し具合は酒造りに携わる蔵人全員で確認。
蒸し具合を見る「ひねり餅」だ。
少量の蒸し米を手に取り熱いうちに
手のひらでひねって餅をつくり、そのひねり餅で蒸し上がり具合をみる。
蔵元、杜氏、蔵人関係なく、皆手にとり確かめる。
いい蒸し具合と判断したら、専用のスコップで甑から蒸米を掘り出す作業に。
スコップで籠などに入れこむ、いわゆる‘掘る’作業。
大体、籠1杯5キロ弱。
室にひきこむ作業は時間との勝負。
男はもちろん、女でも弱音なんていってられない。
甑と室の間を蔵人が代わる代わる往復する。
秋とはいえ、外気は肌寒いはずなのに、引き込み最中の蔵の現場の空気は暑い。
お釜の下層で蒸されていた米は酒母用のかけ米となる。
蔵の酒母室は一階。
そこまで蒸した米を運ぶのは!エアーホース!大統領専用機!ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
エアシューターである。
そのエアシューターをセットするのは杜氏の仕事。
手慣れた様子で蔵の中に隠されていたホースを取り出してきて、
セッティング。
セットができたら、下層の蒸し米を放冷機へ。
一粒も無駄にしないように慎重に。
「うちの蔵のある場所は谷間なので、幅が狭い。だから上へ上への構造になるけど、
この構造がうちの造りにとってちょうどいい広さなんですよ」(尚子さん)。
ちょうど小学校の教室一部屋くらいの空間に甑と放冷機が並び、
その上を蒸し米がクレーンで飛んでいく。
サーカスのパフォーマンスをみているような感覚でワクワクするのは見学しているものだけ。
造り手はもちろん真剣である。
放冷機の上で蒸米をくるんだ布の下を開いて、いれる。
スイッチをいれると蔵中に響くゴゴゴゴオゴゴゴオオオゴオオオという機械音。
大きなおだんご状だった蒸米が放冷機の中で圴一な大きさで広げられ、
ほぼ一定の温度まで下げられていく。
「ほぼ圴一な温度にしないといけないから、なるべく大きな塊にならないように気をつける」という丸山杜氏。
放冷機のベルト上に動いている蒸米のすべてにぬかりなく目を光らせて、
少しでも大きな塊があれば、手にとりほぐし、圴一にほぐしていく。
まだ蒸米からは湯気が立ち上っている。
熱いはずだ。熱いはずだが、そんな気配すら微塵も見せない。
「熱いときでも熱いという暇なんてないんです」と以前、尚子さんに聞いたことがある。
造りは時間との勝負。特に‘蒸し’は温度があってのものだ。
なんでもすぐに「熱いからもてへん」とネコ手をアピールするgon麹。恥ずかしい……。
放冷機を通った蒸米をほぐしつつ、杜氏は匂いをかいで出来具合をチェック。
このあと、かけ米として
エアシューターで酒母室のタンクまで運ばれるのだ。
エアシューターは二階から一階へとタンクの上や他の機械の上にはりめぐらされている。
夏のウォータープールの滑り台みたいな感じで、
放冷機を飛び出したかけ米はあっという間に通り過ぎていく。
じぃいいっとホースをみていると白い米がビュンビュンビュンと飛んでいくのがよくわかる。
まるで運動会で各蒸米が酒母タンク目指してかけっこをしているような感じだ。
ε=ε=(* ̄ー)ノノ[タンク] ε=ε=(* ̄ー)ノノ[タンク]
あぁ一緒にかけっこしたい♪
酒母室では蔵人が小ぶりの電動櫂をもって、
かけっこしてきたかけ米のゴールを受け止めている。
勢いよく酒母タンクにダイブするかけ米。
「今回は120キロくらいのかけ米です。この酒タンクは200リットルなので今日は少ないくらいですね。まだ溶かしやすい量ですよ」(蔵人)
造り中頃になると150キロ以上だとか。こうなってくると電動の櫂で勢いよくかき混ぜても
なかなかスムーズにはいかないらしい。
二の腕が筋肉痛になるのでは?と見ているほうが心配になってくるが、
そこは蔵人。へっちゃらさーという涼しい顔で作業を続ける。
温度をみつつ、撹拌を続ける。
蔵で働くということは体力がないとできないことなのだ。
あぁ、運動不足気味のgon麹は1時間で音を上げるのは間違いない。
湯川酒造で使われている酵母は協会901号。
性質は協会9号と同じだが、醪で高泡を出さない酵母だ。
「酸は少ないけれど、香気が高いですね」(尚子さん)。
酒呑みだが、こういう酵母の話になると小学一年生レベルのgon麹。
ちゃんと知識いれておかねば。アセ(;~▽~;)アセ
かけ米のエアシューターかけっこはあっという間に終わる。
すると蔵人全員でホースの片付け。
ホースのつなぎ目を外して、元の場所へ。
片付ける前のホース内をのぞくとゴールできずに力つきたかけ米さんが……。
「おつかれさん」と思わず、声かけた。
さて、尚子さんは室に引き込んだ蒸米に麹菌をふりかける種きり作業である。
缶から飛び出す種麹。緑色に見えるのは一瞬だけで、
あっという間に蒸米の周りに消えていく。
振りかけたら、床もみ作業。
蒸米に圴一に種麹が付着するように何度もひっくり返す。
室のなかは約35度。
熱い、じっとりと汗をかいてしまう。
「寒すぎても暑すぎてもダメなので一番温度管理に気をつかいますね。でもこの米がうちの酒を造りだしてくれると思うと、そういう手間暇もへっちゃら……かも。あ、造りの初めだからいえるんですけれど。忙しくなると、もうヘトヘトになりますよ(笑)」(尚子さん)。
某CMで酒造りをする職人の手の美しさをとりあげていたものがあった。
尚子さんの手もそうなのだろうか……と、じぃいいとみていたgon麹。
その視線に感づいて、一言。
「床もみとかすると確かに肌にいいと思うけど、それ以上に洗米作業など水を使う作業が多いので、荒れてますよ(爆)」
という尚子さんの肌は間違いなく白くてきめ細かい。
仕込み水はもちろん、蔵で使われている水はすべて
広大なカラマツ林が広がる木曽山地より湧き出す井戸水。
透明度はかなりあり、冷たさも十分。
今夏のように猛暑が続いた日にごくごく飲みたい気分である。
作業が一通りできたら、掃除である。
使ったものすべて綺麗に水洗い。
「次の仕込みをスムーズにするために、湯川酒造の品質を保つために
掃除が一番大事だ」と丸山杜氏はいう。
その言葉どおり、掃除し終わった蔵はピッカピカ。
ここで造られる子は間違いないと「よくできました」という太鼓判が押せる。
湯川酒造の酒は二通りに分かれる。
都会を中心に人気がある『九郎右衛門』シリーズと昔ながらの『木曽路』だ。
地元の人は昔なじみの『木曽路』に手が伸びるらしい。
どっしりとした子で、旨味の幅が面白いほど広く、そして深い。
雑味というと語弊があるが、米ひとつひとつの味が面白いぐらい元気なのだ。
飲みやすいということはない。どちらかというとしっかりとのんびり、ちびりちびりと
いつまでも飲んでいる子だろう。
飲みやすさでいえば『九郎右衛門』のほうかもしれない。
こちらはこちらでいろんな味の世界をもつ子が多く、ストレートでもよし、燗酒にも向く。
「酒は賛否両論ある世界だけど、嗜好品なのだから、いろんな性格があっていいと思う。そのなかでうちの酒は、飲んでいる人が当たり前のようにいつでもサッと嗜んでもらえる子になるといいな」
湯川酒造16代目当主、湯川尚子さん。
造りは今からどんどん忙しく気がぬけなくなるだろう。
今年より造りの蔵人は丸山杜氏を含めて4人体制となった。
「少数精鋭でうちの酒は造りだします。23BYもよかったけど24BYもやっぱりいいね、といわれるように」
まだ秋色に染まっていなかった木曽の山々はもう雪がつもっているとか。
日照時間もどんどん短くなる。
今日も明日も明後日も湯川酒造の蔵からは蒸米の蒸気があがり、
タンクに櫂をいれる音が聞こえているのだろう。
今宵の一杯は、尚子さん達が醸し出した子に決めた。
※12月7日、双葉社より発売された『Bacchante』で湯川尚子さんを紹介しております。尚子さんがどのような思いで酒を造り続けているのか……。ぜひご覧ください。全国書店、都内コンビニ、アマゾンで購入可能。(http://bacchante.jp)
↑いつも読んでいただきありがとうございます。ぽちっとよろしくお願いします
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DATA)
蔵名:湯川酒造店
住所:長野県木祖群木祖村藪原1003-1
電話:0264-36-2030
URL :http://www.sake-kisoji.com