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Channel: ゴン麹 酔いどれ散歩千鳥足 <野望と無謀>
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北千住はいとをかし

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北千住駅の東口。
メトロを使うと地上にでて移動せねば東口に抜けられないという立地構造を知ったのは去年。
23区内でありながら、北千住ゾーンをまだなんにも知らない自分である。

さて、その北千住に新年会のお呼ばれがあった。

場所は「明日香 北千住店」。
北千住店とついているくらいだから、都内あちこちにあるのだろうと想像しつつ店舗に向かうと、
その店構えに驚いた。
まるで京都や伊勢のような門前町の風情ある佇まい。
喧噪な町のなかにあって
そこだけまるで見えないベールに包まれたように
非日常的上質な時間の流れ。



正式店舗名は「味問屋 明日香北千住本店」だ。

引き戸をあけると、香のよき匂いが出迎えてくれる。
靴を脱ぎ、階段をあがり二階へ。
さらに上にも続いているので三階もあるようだ。
二階はそれぞれ定員がそれぞれ異なる個室がいくつか。

全員が揃うまで、お茶を一服。

「先になにか飲まれますか?」と、矢継ぎ早に聞かれない、
落ち着いたサービスに
ここは料亭か!?と思わずかしこまりそうになる。



新年のご挨拶は平孝酒造の日高見の超辛口。
超辛口とありながら、米の旨味もしっかりとでており、
そのコクが舌の上でたゆむことなく静かに身体のなかを浸透しはじめる。



お正月ということだろう。
出てくる器がなんともめでたい形のものが多く、先付の器は鏡餅。



梅の形にカットされた紅白のなますや葛に包まれた黒豆など
おせち料理の雰囲気を楽しめる。



白みその碗はお雑煮を思わせる。
柔らかい白みその味は西日本の人間にはありがたき世界。
外の寒さで固まった心がじんわりとゆるみだす。



造りと一緒にでてくるのは
自家製の湯葉。
1mほどある長い皿の上には雪に見立てた氷を敷き、その上に丸い小箱。
まるで宝箱のような小箱の中に、濃厚でクリーミィーな湯葉が丁寧にたたまれていた。



造りの皿は鶴。
なんとも嬉しや。うちの家紋とそっくりである。
偶然ではあるが、縁起よきことにて、
「すごい!」とついつい声をあげてしまった。



午の絵馬の上にのせられた、鰆の押し寿司とゆずのシャーベット。
胃袋がぐるぐると鳴りだした。
ほどよい酸味の酢飯は、胃袋を軽く刺激したのだろう。
次の膳が待ち遠しくなる。



寒いときはやはり寒い地方の子を飲もう! ということで
北海道の国稀酒造の本醸造。
酒米を65%まで磨いた子は端麗な喉越し。
されどグッと太さを感じる甘さは口のなかで噛みしめていくと
口から鼻先へ抜けていくのがよくわかる。



凌ぎにでてきたのは
これまたありがたい茶碗蒸し。
上品な卵に蟹の身をちらばめており、めでたい色彩に
これまたうっとり。



焼きの一皿にしても
そのまま食べるだけでなく、金柑をのせて口にほおばれば、
甘酸っぱい柑橘の爽やかさが頬を上気させ、口角をあげてくれる。



おすましの二の碗には大根と筍につくね。
上品の味わいのつくねのコリコリとした食感。
つくねは千差万別。
店、いや作り手によって味も食感も異なるので、
つくねはワクワクする。

出てくるどの料理に、新年会は笑顔で大盛りあがり。
今年もよきことありそうだ。

北千住、東口にあるこちらの時間はいとをかし。


 
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DATA)
店名 :味問屋 明日香北千住本店
住所 :足立区千住旭町27-1
電話 :03-3888-4520
営    :11:00~15:00、17:00~23:00(L.O 22:00)
休    : 年末年始
URL : http://www.asuka-honten.com/index.html
備考:1階はカウンター。コースは5000円(税別)〜。アラカルト注文もできる。


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