先週より揺れが続く九州の大地。
この度の震災に遭われた皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
熊本、大分の被災地の情報が流れてくる毎日。
被災地でのマスコミの立場のあり方も多く問われているなか、
一番大事なのは、震災にあわれた方々のストレスや疲労を減らし、
安心して過ごせる日常生活を一刻も早く取り戻すことである。
そして自分達はコツコツとできることからやっていくのみなのだ。
今はプロに任せる時期。
二の手、三の手が必要な時期こそ、自分達の動けるときなのだと思う。
現地にはいけぬが、どうにか熊本応援という風は各地で舞い上がる。
東京にある熊本の物産館は連日、行列。
1円、10円でも現地の支援になりますようにという気持ちで熊本県の商品を購入している人が多く連なっている。人との縁が希薄といわれる都会なんてどこふく風。
人類みんな一緒。傍にいるよ!負けるな!という気持ちがいっぱいなのだ。
それは熊本や大分の現地も同じ。
余震が続く地から、「負けない!がんばるますけん!」というメッセージを届けてくれる。
励ます立場の自分がそのメッセージで元気をもらうこともあり、
これではいけんいけん!と思うのみ。
そんなメッセージをくれるひとつが熊本県人吉市にある寿福酒造さんだ。
ちょうど1週間前の木曜日。
蔵に酎ナフキンとして御邪魔していた。
「麦の仕込みを始めたばかりですから、どうぞ」
というお話をきき、鹿児島から車を飛ばした。
真夏のような陽射しのなか、心地いいやや強い風が蔵内をかけめぐっていた。
着いたのはお昼前。
午前中に蒸し上げた麦の製麹作業を見学。
大きな杓文字のような木のへらは
毎年の造りで見事にすりへり、みの部分は手のひらサイズになっていた。
「使い勝手いいけど、もう変えんと」といいながらも、良太さんはそのヘラで湯気のたちあがる麦をまずかき混ぜて
空気を入れこむ作業は真剣である。
台の上の麦を撹拌した後は、そのヘラで
畝のような形をつくり、その畝を全員で手で崩して、上下左右かきまぜる。
とにかくこのきりかえしの作業が大変だ。
「麦は米より扱いやすいのですけど、唯一の難点がなかなか冷めんとです」。
その言葉どおり、台の上の麦は手がいれられないくらい熱い。
いや、入れなくてはいけないのだが、とにかく低温火傷というよりは、
熱湯に手をいれこむという感じにて。
御手伝い〜と軽い気持ちで始めたとたん、「これは迷惑かける」という気持ちになるが
もはや、あとのまつり。
熱くても、かき混ぜないと麦は冷めてくれない。
とにかく気合いで手を麦につっこみ、麦に外気をあてるしかないのである。
室にいれられる温度になるまでその作業を何度も繰り返し、
ようやく引き込み作業に。
室前の台からバケツリレーで室に人海戦術。
家族経営という少数精鋭の人数で的確にすすむ作業は
いつみても凄いものである。
室にいれると、種麹付けになる。
麹はとにかく極小にて、マスクしないと厳しいのが現実だ。
多くの蔵でも麹アレルギーになる蔵人も少なくなく
とくに種付けにはマスクは要必である。(アレルギーにならない人もいるのでご心配なく)
種麹を麦につけると、先ほどと同じように麦を上下にいれかえ
万遍なくどの麦も麹菌を纏うように手をいれる。
その作業を3回ほどくりかえす。
「米よりも麦はいいですよ。さばきやすいし、はぜやすい」
米よりも麦は5倍以上の大きさかつ、米ほどあまり水分を含まないのでパラパラとばらけやすく、
さらに大きい分、麹菌もはぜやすい!
1日前の製麹した麦はしっかりと種麹菌糸をまとっているのが直視できる。
この麦が美味い焼酎『寿福絹子』になる。
『寿福絹子』は寿福酒造の麦焼酎だ。
絹子おかあさんの名をつけた子は一次仕込みを甕壷で仕込む。
米同様、全行程手造りで母のような愛情をたっぷり注いで醸されており、
生まれた子2年間貯蔵され瓶につめられる。
常圧蒸留オンリーの蔵ならではの世界は
多くの焼酎ファンの心をつかんでいる。
『寿福絹子』は芳醇な香りをもちながら、口当たりはまるく優しく
体中に穏やかさな余韻を感じさせてくれる子だ。
その世界をさらに秀逸させているのが1999年に蒸留した麦古酒『寿福』28度。
蔵のなかで16年間、静かに眠っていた子は麦の熟成さが骨太くなりつつも香ばしく熟成したからこそうまれた梅のような甘酸っぱい香りで心地いい。
キレ味もよく、ストレートやロックで飲むとまるでウィスキーのようなイメージである。
寿福酒造さんの古酒は昔から注目されており、
2013年に発売された『寿福屋 作衛門』は即完売。
1985年に蒸留した米焼酎の古酒であるが、
麦焼酎ファンはもちろん、ウィスキーファンからの問い合わせも多かった。
この『寿福屋 作衛門』は少しなめさせてもらった記憶があり、
常温でチビチビと古酒ならではの上等なビロード感の滑らかさに
絶対、寿福酒造の古酒はでてきたら、手にいれるべし!と誓ったものだ。
米焼酎『武者返し』にも古酒の子もいる。
一斗甕で8年寝かした子は麦同様、全て手造り。
長期熟成ならではの味わいは森のなかにある湖の深淵な雰囲気で
口のなかでまるまるっと揺れるような口当たりは言葉がでない。
限定83本という本数は、
家族で造りだす、育てるという限界でもある。
さらに上には上の子が。
1985年に産声をあげた『本格焼酎 麦 古酒100% 寿福』39度。
蔵のなかでずうっと30年間静かに眠っていた子が満を持して表にでた。
30年というのはある意味すごい年数だ。
この子が生まれたとき、自分は何をしていたか……と考えるだけで
色々なストーリーが頭のなかにあふれだし、楽しくしてくれる。
「これはもうでんと。だけんほんまに好きな人に飲んでほしか。蔵の歴史がはいっとる」
1890年、明治23年に創業した寿福酒造。
4代目絹子かあさんが育てた子との出会いは、自分にとってもまさに縁。
どんなことも出会いは全て意味があり、
どう紡ぐかどうかは自分次第。
自分の知らない寿福酒造の歴史を味わいたい、味わうべきだ。
今だからこそ、今だからこそ。
まだまだ油断ならない地震。
直接なにかできないからこそ、
今自分にできることを……
できることから少しずつ少しずつ、長くつなげていこう。
『これから地震が終息するのか、まだ続くのかは分かりません。
元の熊本に戻れるのはどれくらいかかるか分かりません。ただ今の自分にやれることをやる。それが復興への一番の近道なんだと思います。
今は熊本の被災した方達が1日でも早く元の生活に戻れるように微力ですが頑張りたいと思います。
熊本の人間は強い!頑張るばい!』 (良太さんFacebookより)
今日も元気に蔵のなかでは『寿福絹子』の醪が醗酵している。
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DATA)
蔵名:寿福酒造
住所:熊本県人吉市田町28
電話:0966-22-4005
商品名:
麦古酒『寿福』28度 (5000円)
『本格焼酎 麦 古酒100% 寿福』39度(50000円)
寿福酒造でも購入可能。
この度の震災に遭われた皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
熊本、大分の被災地の情報が流れてくる毎日。
被災地でのマスコミの立場のあり方も多く問われているなか、
一番大事なのは、震災にあわれた方々のストレスや疲労を減らし、
安心して過ごせる日常生活を一刻も早く取り戻すことである。
そして自分達はコツコツとできることからやっていくのみなのだ。
今はプロに任せる時期。
二の手、三の手が必要な時期こそ、自分達の動けるときなのだと思う。
現地にはいけぬが、どうにか熊本応援という風は各地で舞い上がる。
東京にある熊本の物産館は連日、行列。
1円、10円でも現地の支援になりますようにという気持ちで熊本県の商品を購入している人が多く連なっている。人との縁が希薄といわれる都会なんてどこふく風。
人類みんな一緒。傍にいるよ!負けるな!という気持ちがいっぱいなのだ。
それは熊本や大分の現地も同じ。
余震が続く地から、「負けない!がんばるますけん!」というメッセージを届けてくれる。
励ます立場の自分がそのメッセージで元気をもらうこともあり、
これではいけんいけん!と思うのみ。
そんなメッセージをくれるひとつが熊本県人吉市にある寿福酒造さんだ。
ちょうど1週間前の木曜日。
蔵に酎ナフキンとして御邪魔していた。
「麦の仕込みを始めたばかりですから、どうぞ」
というお話をきき、鹿児島から車を飛ばした。
真夏のような陽射しのなか、心地いいやや強い風が蔵内をかけめぐっていた。
着いたのはお昼前。
午前中に蒸し上げた麦の製麹作業を見学。
大きな杓文字のような木のへらは
毎年の造りで見事にすりへり、みの部分は手のひらサイズになっていた。
「使い勝手いいけど、もう変えんと」といいながらも、良太さんはそのヘラで湯気のたちあがる麦をまずかき混ぜて
空気を入れこむ作業は真剣である。
台の上の麦を撹拌した後は、そのヘラで
畝のような形をつくり、その畝を全員で手で崩して、上下左右かきまぜる。
とにかくこのきりかえしの作業が大変だ。
「麦は米より扱いやすいのですけど、唯一の難点がなかなか冷めんとです」。
その言葉どおり、台の上の麦は手がいれられないくらい熱い。
いや、入れなくてはいけないのだが、とにかく低温火傷というよりは、
熱湯に手をいれこむという感じにて。
御手伝い〜と軽い気持ちで始めたとたん、「これは迷惑かける」という気持ちになるが
もはや、あとのまつり。
熱くても、かき混ぜないと麦は冷めてくれない。
とにかく気合いで手を麦につっこみ、麦に外気をあてるしかないのである。
室にいれられる温度になるまでその作業を何度も繰り返し、
ようやく引き込み作業に。
室前の台からバケツリレーで室に人海戦術。
家族経営という少数精鋭の人数で的確にすすむ作業は
いつみても凄いものである。
室にいれると、種麹付けになる。
麹はとにかく極小にて、マスクしないと厳しいのが現実だ。
多くの蔵でも麹アレルギーになる蔵人も少なくなく
とくに種付けにはマスクは要必である。(アレルギーにならない人もいるのでご心配なく)
種麹を麦につけると、先ほどと同じように麦を上下にいれかえ
万遍なくどの麦も麹菌を纏うように手をいれる。
その作業を3回ほどくりかえす。
「米よりも麦はいいですよ。さばきやすいし、はぜやすい」
米よりも麦は5倍以上の大きさかつ、米ほどあまり水分を含まないのでパラパラとばらけやすく、
さらに大きい分、麹菌もはぜやすい!
1日前の製麹した麦はしっかりと種麹菌糸をまとっているのが直視できる。
この麦が美味い焼酎『寿福絹子』になる。
『寿福絹子』は寿福酒造の麦焼酎だ。
絹子おかあさんの名をつけた子は一次仕込みを甕壷で仕込む。
米同様、全行程手造りで母のような愛情をたっぷり注いで醸されており、
生まれた子2年間貯蔵され瓶につめられる。
常圧蒸留オンリーの蔵ならではの世界は
多くの焼酎ファンの心をつかんでいる。
『寿福絹子』は芳醇な香りをもちながら、口当たりはまるく優しく
体中に穏やかさな余韻を感じさせてくれる子だ。
その世界をさらに秀逸させているのが1999年に蒸留した麦古酒『寿福』28度。
蔵のなかで16年間、静かに眠っていた子は麦の熟成さが骨太くなりつつも香ばしく熟成したからこそうまれた梅のような甘酸っぱい香りで心地いい。
キレ味もよく、ストレートやロックで飲むとまるでウィスキーのようなイメージである。
寿福酒造さんの古酒は昔から注目されており、
2013年に発売された『寿福屋 作衛門』は即完売。
1985年に蒸留した米焼酎の古酒であるが、
麦焼酎ファンはもちろん、ウィスキーファンからの問い合わせも多かった。
この『寿福屋 作衛門』は少しなめさせてもらった記憶があり、
常温でチビチビと古酒ならではの上等なビロード感の滑らかさに
絶対、寿福酒造の古酒はでてきたら、手にいれるべし!と誓ったものだ。
米焼酎『武者返し』にも古酒の子もいる。
一斗甕で8年寝かした子は麦同様、全て手造り。
長期熟成ならではの味わいは森のなかにある湖の深淵な雰囲気で
口のなかでまるまるっと揺れるような口当たりは言葉がでない。
限定83本という本数は、
家族で造りだす、育てるという限界でもある。
さらに上には上の子が。
1985年に産声をあげた『本格焼酎 麦 古酒100% 寿福』39度。
蔵のなかでずうっと30年間静かに眠っていた子が満を持して表にでた。
30年というのはある意味すごい年数だ。
この子が生まれたとき、自分は何をしていたか……と考えるだけで
色々なストーリーが頭のなかにあふれだし、楽しくしてくれる。
「これはもうでんと。だけんほんまに好きな人に飲んでほしか。蔵の歴史がはいっとる」
1890年、明治23年に創業した寿福酒造。
4代目絹子かあさんが育てた子との出会いは、自分にとってもまさに縁。
どんなことも出会いは全て意味があり、
どう紡ぐかどうかは自分次第。
自分の知らない寿福酒造の歴史を味わいたい、味わうべきだ。
今だからこそ、今だからこそ。
まだまだ油断ならない地震。
直接なにかできないからこそ、
今自分にできることを……
できることから少しずつ少しずつ、長くつなげていこう。
『これから地震が終息するのか、まだ続くのかは分かりません。
元の熊本に戻れるのはどれくらいかかるか分かりません。ただ今の自分にやれることをやる。それが復興への一番の近道なんだと思います。
今は熊本の被災した方達が1日でも早く元の生活に戻れるように微力ですが頑張りたいと思います。
熊本の人間は強い!頑張るばい!』 (良太さんFacebookより)
今日も元気に蔵のなかでは『寿福絹子』の醪が醗酵している。
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DATA)
蔵名:寿福酒造
住所:熊本県人吉市田町28
電話:0966-22-4005
商品名:
麦古酒『寿福』28度 (5000円)
『本格焼酎 麦 古酒100% 寿福』39度(50000円)
寿福酒造でも購入可能。