焼酎ファンになって10数年。全くど素人の酒呑みがここまで焼酎と共に歩んでいるとは
20代の自分は想像していなかっただろう。
熱狂的な焼酎ブームは消え、その後、下降気味の時代もあり、
そして今はゆるやかにのぼりつつある焼酎。
いつの時代も人気のバロメーターという波はよせてはかえし、よせてはかえしが原理のようである。
さて、先日、おもしろい子が世の中にお目見えした。
14度の焼酎。
14度?と聞いて、何がおもしろい?と首をかしげる人もいるだろう。
本来、焼酎の度数は鹿児島は25度、宮崎は20度が一般的で、
14度というのはかなりの低アルコール焼酎となるのである。
このおもしろき子の名は“球-Q”。
宮崎県高鍋に蔵を構える、黒木本店のニューフェイスである。
“球-Q”。
◯がうっすらと描かれているラベルは一見、焼酎に見えない。
焼酎というとドンと迫力ある一升瓶の印象が強いが、
“球-Q”は四合瓶。
焼酎はそもそも割って飲むものであるが、
この“球-Q”はワインや日本酒のように、瓶を開封したらそのまま飲めるという点が呑み助にとって
新しき点であろう。
もちろん、焼酎には前割りという文化があり、前割り焼酎というのも発売はされている(“球-Q”と同じ)。
焼酎好きならよくご存知の世界だ。
しかし一般的には前割りってなに?それ自分でやるの?そうしたほうがおいしいの?という状態でまだまだ浸透は低い。
そんなとき“球-Q”の登場である。
あ、はじめにいいわすれていた。
“球-Q”は芋焼酎である。
黒木本店の玉茜の原酒や黄金千貫の原酒、樽で熟成させた芋焼酎などをブレンドしたのが実態だ。
実はこの“球-Q”の前進を昨年、蔵見学&蔵取材に御邪魔したとき
“球-Q”の生みの親、黒木信作氏に飲ませていただくきっかけがあった。
「これ、いろいろなものをブレンドさせてる実験酒です。」といわれて
だされた焼酎を飲んだとき、こ!こいつは!なんか凄いかも!という直感があった。
「これ、なになに!?そのまま?前割り? このまま飲めるの!?」
矢継ぎ早に質問した覚えがある。
そのとき、黒木信作氏がいっていた言葉はしっかり頭に残っている。
「焼酎をボトルからそのまま飲める、そんな気軽なお酒になれるはずです」
もともと焼酎の25、20度の度数も原酒に加水し、その度数まで下げたもの。
その度数もそのまま飲むというのは体にこたえる度数であるから、
水、お湯、氷などをいれて度数を落として飲むのが焼酎。
面倒くさい、わからないと思うかもしれないが、
自分の好みの度数、味わい、風味を作れるおもしろさがあるのが焼酎なのである。
さて、“球-Q”。
飲み方はワイン、日本酒と同じく開封してそのままグラスに注ぐだけ。
一見、焼酎といわれなければ、ワインと間違えそうだ。
冷蔵庫に冷やしておいて、そのままストレートというパターンになりそうだが、
個人的には少し温度が常温に近づくくらい戻ったほうが
香りと繊細な味わいの波が現れるので、好み。
ブレンドしているだけあって、飲んでいるとき
あれ、これは玉茜の香りだけど、こっちの部分は黄金千貫タイプの味わいの伸びがあるなあ……などと
色々頭のなかで“球-Q”がころころと多彩な面をみせてくれる。
まさに球。その名のとおりだ。
“球-Q”というネーミングになぜしたのかと黒木氏にお聞きしたことがある。
「うちは自然環境との調和があってこそのものづくり。焼酎を造っていくと農業と切っても切れない大事だ関係だということが
よくわかるのです。だからこそ、自然、蔵のあるこの大地を大事にしたい。焼酎を造って出た焼酎粕から肥料や飼料をつくり、肥料は焼酎の原料となる芋を植える畑にまく。その畑で育った芋をつかって焼酎を造るという完全なるリサイクルシステムがうちにはあります。それはまさに縁であり、◯の世界。そんな世界から生まれるべくして生まれたのが“球-Q”なのです」と教えてくれた黒木氏。
たしかにリサイクルの形は無駄なく、相乗効果でお互いがしっかりと結ばれている縁であり◯だ。
黒木本店の実施している理想的なエコ•リサイクルは自然を大事にする、大地への感謝をこめて行うことであり
これはかつて、日本ではモノをもったいないという心から当たり前のようにされていた行動でもあった。
今、それがまた目新しく感じるのは……久しく、使い捨ての大量消費という物欲世界にどっぷりつかっていたからだろう。
焼酎粕というのは今では産業廃棄物となっているが、実は栄養満点の代物で
海洋投棄は海を汚染するといわれ、投棄廃止になったことから
海の魚が減ったという話を別の蔵で聞いたことがある。
また黒木本店同様、畑に焼酎粕を巻くことで、その畑でとれる芋がよくなったという焼酎蔵の話もある。
まさに宝のもちぐされーというべき存在が焼酎粕であるといえよう。
本当は全ての焼酎粕を黒木本店のようにリサイクルする形にもっていけたら、最高の理想物となるだろう。
でもまだそれは完全にできているわけではない。
コストもかなりかかるので、手がまわらないということもあるだろう。
まだまだ課題が多い部分ではあるが、その問題をいち早くこうすべきという形をつくったのが黒木本店であり、
“球-Q”の世界でもあるのだ。
14度の焼酎“球-Q”。
焼酎ってなんだ?焼酎ってよくわからない!といっていた人も
この子を飲めば、焼酎を知るひとつのきっかけになるだろう。
焼酎好きからしてみたら、これまたおもしろいタイプの子がでてきたなあと手がでるはずだ。
言わずもがな、日本中にファンの多い黒木本店。
“球-Q”は焼酎の新しき1歩となるべく存在である。
追伸:
黒木氏から素敵なメッセージが後日届いた。
「発売まで大分時間がかかりましたが
これからもさらに香りを高めるべくドンドンブレンドを変えて余計にQ?な銘柄にしたいと思います」
毎年なにかしらブレンドが変わるということは
心ワクワクさせてくれ、目がはなせないのは間違いない。
“球-Q”はまだまだ進化していく子。
こいつはしっかりと!!! これからも見守り呑み続けねばならぬ!
↑いつも読んでいただきありがとうございます。ぽちっとよろしくお願いします ↑新しく登録中です。こちらもぽちっとよろしくお願いします。by gon麹
撮影協力
とり鉄 三軒茶屋店
住所:〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋1丁目38−7 フォーラムN&N B1
電話: 03-5779-9410
(株)黒木本店
住所:〒884-0002 宮崎県児湯郡高鍋町北高鍋776
一般見学は不可。販売もなし。
20代の自分は想像していなかっただろう。
熱狂的な焼酎ブームは消え、その後、下降気味の時代もあり、
そして今はゆるやかにのぼりつつある焼酎。
いつの時代も人気のバロメーターという波はよせてはかえし、よせてはかえしが原理のようである。
さて、先日、おもしろい子が世の中にお目見えした。
14度の焼酎。
14度?と聞いて、何がおもしろい?と首をかしげる人もいるだろう。
本来、焼酎の度数は鹿児島は25度、宮崎は20度が一般的で、
14度というのはかなりの低アルコール焼酎となるのである。
このおもしろき子の名は“球-Q”。
宮崎県高鍋に蔵を構える、黒木本店のニューフェイスである。
◯がうっすらと描かれているラベルは一見、焼酎に見えない。
焼酎というとドンと迫力ある一升瓶の印象が強いが、
“球-Q”は四合瓶。
焼酎はそもそも割って飲むものであるが、
この“球-Q”はワインや日本酒のように、瓶を開封したらそのまま飲めるという点が呑み助にとって
新しき点であろう。
もちろん、焼酎には前割りという文化があり、前割り焼酎というのも発売はされている(“球-Q”と同じ)。
焼酎好きならよくご存知の世界だ。
しかし一般的には前割りってなに?それ自分でやるの?そうしたほうがおいしいの?という状態でまだまだ浸透は低い。
そんなとき“球-Q”の登場である。
あ、はじめにいいわすれていた。
“球-Q”は芋焼酎である。
黒木本店の玉茜の原酒や黄金千貫の原酒、樽で熟成させた芋焼酎などをブレンドしたのが実態だ。
実はこの“球-Q”の前進を昨年、蔵見学&蔵取材に御邪魔したとき
“球-Q”の生みの親、黒木信作氏に飲ませていただくきっかけがあった。
「これ、いろいろなものをブレンドさせてる実験酒です。」といわれて
だされた焼酎を飲んだとき、こ!こいつは!なんか凄いかも!という直感があった。
「これ、なになに!?そのまま?前割り? このまま飲めるの!?」
矢継ぎ早に質問した覚えがある。
そのとき、黒木信作氏がいっていた言葉はしっかり頭に残っている。
「焼酎をボトルからそのまま飲める、そんな気軽なお酒になれるはずです」
もともと焼酎の25、20度の度数も原酒に加水し、その度数まで下げたもの。
その度数もそのまま飲むというのは体にこたえる度数であるから、
水、お湯、氷などをいれて度数を落として飲むのが焼酎。
面倒くさい、わからないと思うかもしれないが、
自分の好みの度数、味わい、風味を作れるおもしろさがあるのが焼酎なのである。
さて、“球-Q”。
飲み方はワイン、日本酒と同じく開封してそのままグラスに注ぐだけ。
一見、焼酎といわれなければ、ワインと間違えそうだ。
冷蔵庫に冷やしておいて、そのままストレートというパターンになりそうだが、
個人的には少し温度が常温に近づくくらい戻ったほうが
香りと繊細な味わいの波が現れるので、好み。
ブレンドしているだけあって、飲んでいるとき
あれ、これは玉茜の香りだけど、こっちの部分は黄金千貫タイプの味わいの伸びがあるなあ……などと
色々頭のなかで“球-Q”がころころと多彩な面をみせてくれる。
まさに球。その名のとおりだ。
“球-Q”というネーミングになぜしたのかと黒木氏にお聞きしたことがある。
「うちは自然環境との調和があってこそのものづくり。焼酎を造っていくと農業と切っても切れない大事だ関係だということが
よくわかるのです。だからこそ、自然、蔵のあるこの大地を大事にしたい。焼酎を造って出た焼酎粕から肥料や飼料をつくり、肥料は焼酎の原料となる芋を植える畑にまく。その畑で育った芋をつかって焼酎を造るという完全なるリサイクルシステムがうちにはあります。それはまさに縁であり、◯の世界。そんな世界から生まれるべくして生まれたのが“球-Q”なのです」と教えてくれた黒木氏。
たしかにリサイクルの形は無駄なく、相乗効果でお互いがしっかりと結ばれている縁であり◯だ。
黒木本店の実施している理想的なエコ•リサイクルは自然を大事にする、大地への感謝をこめて行うことであり
これはかつて、日本ではモノをもったいないという心から当たり前のようにされていた行動でもあった。
今、それがまた目新しく感じるのは……久しく、使い捨ての大量消費という物欲世界にどっぷりつかっていたからだろう。
焼酎粕というのは今では産業廃棄物となっているが、実は栄養満点の代物で
海洋投棄は海を汚染するといわれ、投棄廃止になったことから
海の魚が減ったという話を別の蔵で聞いたことがある。
また黒木本店同様、畑に焼酎粕を巻くことで、その畑でとれる芋がよくなったという焼酎蔵の話もある。
まさに宝のもちぐされーというべき存在が焼酎粕であるといえよう。
本当は全ての焼酎粕を黒木本店のようにリサイクルする形にもっていけたら、最高の理想物となるだろう。
でもまだそれは完全にできているわけではない。
コストもかなりかかるので、手がまわらないということもあるだろう。
まだまだ課題が多い部分ではあるが、その問題をいち早くこうすべきという形をつくったのが黒木本店であり、
“球-Q”の世界でもあるのだ。
14度の焼酎“球-Q”。
焼酎ってなんだ?焼酎ってよくわからない!といっていた人も
この子を飲めば、焼酎を知るひとつのきっかけになるだろう。
焼酎好きからしてみたら、これまたおもしろいタイプの子がでてきたなあと手がでるはずだ。
言わずもがな、日本中にファンの多い黒木本店。
“球-Q”は焼酎の新しき1歩となるべく存在である。
追伸:
黒木氏から素敵なメッセージが後日届いた。
「発売まで大分時間がかかりましたが
これからもさらに香りを高めるべくドンドンブレンドを変えて余計にQ?な銘柄にしたいと思います」
毎年なにかしらブレンドが変わるということは
心ワクワクさせてくれ、目がはなせないのは間違いない。
“球-Q”はまだまだ進化していく子。
こいつはしっかりと!!! これからも見守り呑み続けねばならぬ!
↑いつも読んでいただきありがとうございます。ぽちっとよろしくお願いします ↑新しく登録中です。こちらもぽちっとよろしくお願いします。by gon麹
撮影協力
とり鉄 三軒茶屋店
住所:〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋1丁目38−7 フォーラムN&N B1
電話: 03-5779-9410
(株)黒木本店
住所:〒884-0002 宮崎県児湯郡高鍋町北高鍋776
一般見学は不可。販売もなし。