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Channel: ゴン麹 酔いどれ散歩千鳥足 <野望と無謀>
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読んでほろ酔い、呑んでほろ酔い

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酒は好きである。
いつから好きなのか。
気づけば目の前に傍らに酒はあった。

仕事はしがない物書きである。
書くことは好きだったが、
書くことが苦しいと思うようになったのは
やはり仕事にしてからだろう。
それでもやはり書くのは好きなので
しがない物書きをやめるつもりはない。

物書きだから本はいつも共にある。
1冊、1冊増え続け今では……。

我が家は狭い。
いや、狭くはないのだが、狭い。
理由は簡単。
壁&床は酒と本や雑誌が占領しているからだ。

几帳面なA型!? なのにいかんせん片付けは
面倒くさい性分。
そのくせ収集癖は強いので、ますます部屋は狭くなる。

そんな部屋にまた1冊、仲間が増えた。



『文藝春秋 嗜み』No.22(文藝春秋)。
特集のほろ酔いの効用に惹かれて手にとった。

表紙はハードボイルド、北方謙三氏。渋い、渋すぎる。
104頁のうち、ほとんどが“ほろ酔い”に関した内容で、酒好きとしてけっこう楽しめる。

日本酒、洋酒、焼酎、ビールがそれぞれの頁の視点で紹介されていた。

嵐山光三郎氏の古酒に関した頁は
熟成酒好きとしてはたまらない。
高輪にある古酒バー酒茶論での古酒探飲野様子を見ているだけで
朝というのに、飲みたくなってしまった。

“ー新酒にせよボジョレー•ヌーボーにせよ、若いねえちゃんの味で、キャピキャピしていて年寄りは苦手であるー”という一説には机をバンバン叩いてしまった。

おっしゃるとおり。新酒はフレッシュで元気で、飲みやすいのだが、
熟成好きとしては、やはり落ち着いた味わいのなかに感じる、コクやどこまでものびる味の深み。後口の余韻の香りとしびれるような旨味。そのバランスがゆっくり、しっとり上質に口のなかで変化することに
惚れてしまうのである。

嵐山光三郎氏の古酒への印象、表現が面白く4頁という割合に
思わずブーイングしたのはここだけの話。
まさに読んでいるだけで、ほろ酔いしそうである。



以前、酒友に連れていってもらった勝どきのかねますもイラスト紹介されており、
そうそう、こういう感じだったと思い出して眺めていた。
かねますの狭いカウンターの後ろを外国人のカップルが大きなスーツケースを押しながら
店奥に入っていったっけ。
立ち呑みとはいえ、このかねますは高級立ち呑み屋。
調子にのって注文していると、驚く金額になるので、ほどほどに自重しないと頭が真っ白になるため、
かねますで呑むのはほろ酔い加減がお約束なのである。
お値段は高いけど、メニューのコストパフォーマンスは最高なので、
一度訪れるとまた行きたいなあと思ってしまう人が多いのではないだろうか。
価格オンリー主義ではない、価値に重きを感じる呑み助が訪れる立ち呑み屋なのである。



今回、『文芸春秋 嗜み』のほろ酔い特集を知ったきっかけは
奄美大島の黒糖焼酎を醸す、富田酒造場、富田さんの
“奄美「美酒」紀行”の頁の紹介だった。

奄美大島は以前、数回御邪魔したことがある。
東京から直行便があるが、人気路線なので
鹿児島経由の空の旅だった。
鹿児島県に属する奄美群島、奄美大島。
島に降り立つと独特の空気の圧を体に感じる。しかし、それも瞬間のみで
天気がいいとジリジリと焦げるような陽射しの洗礼を受ける。
ザアアアアアという音をたててスコールが降るシーズンもある。
激しい気候が息づく島は、躍動感あふれていた。
その場所で醸される黒糖焼酎、そしてハブ酒の世界を
ノンフィクション作家、小林照幸氏がレポートしている。
数年前の焼酎ブームについても、どうしてその流れになったかを
わかりやすく書かれていた。


『文芸春秋 嗜み』  特集 ほろ酔いの効用
どの頁を開いても
呑みたいと思わせる魅力を発している。
本を眺めて、まず一杯。
冷蔵庫を開けば酒のアテに手がのびる。

日の高いうちからちょいとほろ酔い……
ほろ酔いの効用は効果てきめん、そのとおり。


 
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DATA)
雑誌名:文藝春秋 嗜み No.22
発売元:文藝春秋
定価   :741円(外税)
URL : http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784160088016


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