気づけば梅雨いりしていた。つい先日まで桜に菖蒲と春の雰囲気だったはずだが、季節は6月も過ぎ去り7月。気づけば夏至も過ぎていた。
この梅雨のおかげで我々、人間は美味しい季節の恵みを楽しめるのだ。
焼酎もこの梅雨は大事である。
畑に植えた芋の苗や田の稲にとって
梅雨の恵みは大きく成長する上で欠かせない。
やがて梅雨が明け、燦々と照らす太陽の日差しに包まれて
芋の苗も、稲も育ち、収穫を迎えるのである。
(自分はグダグダ言うタイプだが)
蒸すと、食欲も落ち(落ちないけど)、へばりそうになる。
そういう時に“焼酎”は欠かせない。
ダレた体、内臓に活力と喝を入れる飲みものとして昔から夏の飲みものとして人気があったと
江戸時代の百科事典『和漢三才図会』にも記されている。
完全にへばる前に体調整えないと梅雨明けが恐ろしい。
そんなジメジメを吹き飛ばしてくれるのが
ハマコマチというオレンジ芋を原料に造った『橙華』。
鹿児島の阿久根に蔵を構える大石酒造さんの子だ。
現蔵元は5代目の大石啓元氏。
焼酎ファンからは大石のお父さんと呼ばれ
親しまれている。
大石のお父さんは元々エンジニア畑の出身。
研究熱心で、昔の蒸留機、兜釜を復活させた有名人である。
蔵を継ぎ、自ら杜氏になったとき、地元に愛される『鶴見』の世界を守りつつ、さらに品質を高め、
大石酒造の鶴見があるなら飲め!と誰もが求める銘柄に育てた。
そして頭の中に沸いてでてくる新しいアイデアを形にし、ユニークなものから、度肝を抜くものまで多くの子を世に送り出している。
大石のお父さんのこだわりは造り手の気持ちが呑み手に通じる焼酎にすること。
万人ウケするから造るというのではなく、銘柄ごとに
原料の選定から造り方、貯蔵する方法や時間まで異なるため、一つとして同じタイプは蔵にはいない。
「ミーハーなんですよ。面白いと思ったものは試してみないと気がすまない。全てのアイデアが製品として世に出ることはなかなかないけど、頭の中と経験から、コレはイケる!と思ったときは、もう蒸留してますね」。
橙華もオレンジ芋の特徴である
柑橘系の華やかな香りがしっかりあり、軽やかな飲み口は、次世代の飲み手が好む嗜好だと感じたからだとか。
軽やかでありながら深みある芋のコクと甘さは
往年の焼酎好きも美味いと唸らせる世界に仕上がっている。
暑気払いには炭酸割りやロックで。
のんびりとしたいときは薄めの湯割りオススメ。
「二次醪のタンクは、本当にオレンジ色に染まるんですよ」と語るお父さん。
大石のお父さんの世界はまだまだ続く。
追伸: ラベルにもお父さんのいたずら心が入ってる橙華。
是非、一度ご体験あれ。