四谷界隈はとにかく美味しい名店が多い。
呑み助なら何軒も行きつけをもち、その日その時にとって回遊しているだろう。
自分が四谷方面にお邪魔するようになったのは何年前からだろうか。
5年?いやもっと前か。
なにがきっかけだったかは忘れたが、
いまでは気付は電車を乗り継いでは彷徨う場所である。
四谷三丁目駅から徒歩3分。杉大門通りにあるビルの2階。
今夜は『うのすけ』へ。
つい最近まで2階に続く階段を見上げてはいつか行ってみたいなあと思いつづけていた。
そんな願いが酒の神様が気づいてくれたのか、ついにその願いが適うこととなる。
店内にあがるとまず目に飛び込んでくるのは一枚板の大きなカウンター。
窓側の場所に座り、まずはビール。
そしてお通しにでてくるのは茶碗蒸しに卯の花。そして季節感ある一品。
茶碗蒸し大好きなものとしては、お通しだけでニンマリ顔。
匙ですくっていくと、茶碗蒸しはなんと2層仕上げ。
一番下にパルメザンチーズが隠れていた。
あっさりとした茶碗蒸しの出汁にチーズのコクがアクセントとなり
味わいがさらに深くなる。
出汁と調味料をいぶって煮詰める卯の花はほんのり甘め。大豆の味をしっかり感じられる一品だ。
まずいただいたのは東京の地酒。
豊島屋酒造さんの『特選原酒』だ。
蒸し暑さもあったので、さっぱりしつつも飲みごたえのある感じが飲みたいとお願いすると、
この子が目の前に現れた。
心地よい甘さのある子である。原酒ということもあり、余韻がいつまでも消えないが、重くない。度数は18度ありながら、口当たりもよく喉奥にスゥっと流れていく。ちょっと高級でライトなチョコレートを齧っている気分だ。
お酒がはじまると、我が胃袋も待ってましたーといわんばかりに騒ぎだす。
「ほーら、はやくなにか食わせろー」「お腹すいたぞー」。
お腹のなかで大合唱。
ということで、どーしても気になっていたマッシュルーム刺身をオーダー。
入荷日限定♪という文字に弱い日本人、いやgon麹である。
目の前にでてきたのはまるでボタンの花のように盛りつけられたマッシュルーム。
艶やかさに目を奪われつつも、しっかりとしたマッシュルームのいい香りに鼻はピクピク……。味付けは黒こしょうと塩のみというシンプルで、
マッシュルームそのものの味を堪能できる。
まるでフグのテッサのようなこの料理。
箸で右からズバババババとむんずとつかみたい!そんな衝動を抑えるのが大変だ。
そんなことを察知したうのすけさん。
「大胆にとってもいいんだよ」と笑っていた。
窓から心地よい風が吹き込んでくる。その風を感じつつ、
燗をまずは1本。藤井酒造さんの純米酒『宝寿 酒の道 芳醇純米』をつけてもらった。
このお酒。八反錦を100%使用し、小仕込で丁寧に醸した子である。
とにかく上品かつしっとりする質感。八反錦の米の味がしっかりしている。
広島の蔵ということもあるのだろう。
西日本の酒だと感じる独特の風味が舌の上で広がった。
それがまたいい感じで頭のなかの呑み助の扉をノックしてくれるもんだから、 口角があがったまんま、たまらない。 小粋な大人の雰囲気でメロメロである。
燗がつくともう止まらないのがgon麹。
うのすけさんにお任せしつつ、つまむ料理は浮気盛り。
なんともけったいなネーミングだが
自家製豆腐の味噌漬けに塩こんぶ、桜えびと生しらすという小鉢3つという
確かに酒呑みにとってどれも大好き、捨てられないというものばかり。
「本妻がいて、愛人が2名という構図ね」と、うのすけさん。
奇をてらったネーミングだが、意味も納得! あまりのセンスのよさに脱帽である。
最後の〆にと選んだのは味醂の飲み比べ。
味醂ってごくごくと飲めるもの?とうのすけさんに質問をしたら
「味醂は清酒が普及されるまで、江戸時代後期くらいまで甘口の酒として重宝されていた高級酒」と教えてくれた。
今でもお正月のお屠蘇に味醂を使う地域もあるという。
そもそも味醂の起源は様々な諸説があり、中国の密淋という甘き酒が戦国時代に伝来したという話もある。伝来説のほかに日本に古くから存在していた練酒、白酒という甘い酒に焼酎を加えて飲まれていたという話もある。
こうなると自宅にある味醂は飲めるのだろうかという考えもわいてくる。
それを察知して質問前にうのすけさん。
「家の味醂も飲めるよ。ただし本味醂だよ。本味醂は蒸した餅米、米麹、そして焼酎やアルコールを原料にし、60日間くらいかけて糖化させ、熟成させたもの。この期間の間に米麹の中の酵素が餅米のデンプンやタンパク質を分解させ、糖質、アミノ酸などを生成したもの。味醂と類似している調味料、みりん風調味料や発酵調味料は全く異なる製品で飲めるものではない」と教えてくれた。
色々な味醂の中から選んでもらった5本。
同じ味醂といえど、色合いも香りも酸味も異なり、味わいも様々である。
甘さを強く感じるものもあれば、甘酸っぱく酸味が強いものもある。
5本のなかで飲み比べているうちに、あ、これも好き。あ、これもいいという感じとなり、結局一番、飲み比べのグラスで減りが早かったのは小笠原味醂だった。
三河みりんの愛知県碧南市にある小笠原味醂醸造さんの子で、本味醂「峯宝」の兄弟でもある。加熱処理を行わない生詰。そのため酵素が生きており、天然アミノ産はたっぷりである。
そのためまろやかで甘さに上品さがあり、
まるで砂糖菓子を食べているような繊細さがあった。
味醂だけでなんだか酔いそうな予感……。
とにかく居心地がいい。
カウンターだけの落ち着いた空間。
日本でつくられたあらゆる酒と東京近郊の野菜をつかった料理。
そしてうのすけさんの軽快なトーク。
訪れた者は誰しも笑顔で心から楽しんでいる。
「いつでもおいで。待ってるよ」と送り出してもらうと、
そのままUターンしてもう一杯のんでく!といいそうにもなることも。
「今日は飲むよー」とじっくりと楽しむもよし、サクっと1、2杯飲んで「いってきます」というもよし。
とにもかくにも四谷三丁目、荒木町を彷徨うなら、
必ず立ち寄っておきたいと願う、そんな場所である。
今度は絶対〆のご飯を食べるぞー!(次なる野望)
さて、今日も太陽が西に傾きだした。
そぞろ歩きにはぴったりだ。
ひとっ風呂あびて、草履をひっかけ
ぞろりぞろりと四谷界隈彷徨うとするか。
お気に入りの席を目指して。
↑新しく登録中です。こちらもぽちっとよろしくお願いします。by gon麹
DATA)
店名:日乃丸酒場 うのすけ
住所:新宿区舟町3-6 2F
電話:非公開
営 :17:00〜24:00
呑み助なら何軒も行きつけをもち、その日その時にとって回遊しているだろう。
自分が四谷方面にお邪魔するようになったのは何年前からだろうか。
5年?いやもっと前か。
なにがきっかけだったかは忘れたが、
いまでは気付は電車を乗り継いでは彷徨う場所である。
四谷三丁目駅から徒歩3分。杉大門通りにあるビルの2階。
今夜は『うのすけ』へ。
つい最近まで2階に続く階段を見上げてはいつか行ってみたいなあと思いつづけていた。
そんな願いが酒の神様が気づいてくれたのか、ついにその願いが適うこととなる。
店内にあがるとまず目に飛び込んでくるのは一枚板の大きなカウンター。
窓側の場所に座り、まずはビール。
そしてお通しにでてくるのは茶碗蒸しに卯の花。そして季節感ある一品。
茶碗蒸し大好きなものとしては、お通しだけでニンマリ顔。
匙ですくっていくと、茶碗蒸しはなんと2層仕上げ。
一番下にパルメザンチーズが隠れていた。
あっさりとした茶碗蒸しの出汁にチーズのコクがアクセントとなり
味わいがさらに深くなる。
出汁と調味料をいぶって煮詰める卯の花はほんのり甘め。大豆の味をしっかり感じられる一品だ。
まずいただいたのは東京の地酒。
豊島屋酒造さんの『特選原酒』だ。
蒸し暑さもあったので、さっぱりしつつも飲みごたえのある感じが飲みたいとお願いすると、
この子が目の前に現れた。
心地よい甘さのある子である。原酒ということもあり、余韻がいつまでも消えないが、重くない。度数は18度ありながら、口当たりもよく喉奥にスゥっと流れていく。ちょっと高級でライトなチョコレートを齧っている気分だ。
お酒がはじまると、我が胃袋も待ってましたーといわんばかりに騒ぎだす。
「ほーら、はやくなにか食わせろー」「お腹すいたぞー」。
お腹のなかで大合唱。
ということで、どーしても気になっていたマッシュルーム刺身をオーダー。
入荷日限定♪という文字に弱い日本人、いやgon麹である。
目の前にでてきたのはまるでボタンの花のように盛りつけられたマッシュルーム。
艶やかさに目を奪われつつも、しっかりとしたマッシュルームのいい香りに鼻はピクピク……。味付けは黒こしょうと塩のみというシンプルで、
マッシュルームそのものの味を堪能できる。
まるでフグのテッサのようなこの料理。
箸で右からズバババババとむんずとつかみたい!そんな衝動を抑えるのが大変だ。
そんなことを察知したうのすけさん。
「大胆にとってもいいんだよ」と笑っていた。
窓から心地よい風が吹き込んでくる。その風を感じつつ、
燗をまずは1本。藤井酒造さんの純米酒『宝寿 酒の道 芳醇純米』をつけてもらった。
このお酒。八反錦を100%使用し、小仕込で丁寧に醸した子である。
とにかく上品かつしっとりする質感。八反錦の米の味がしっかりしている。
広島の蔵ということもあるのだろう。
西日本の酒だと感じる独特の風味が舌の上で広がった。
それがまたいい感じで頭のなかの呑み助の扉をノックしてくれるもんだから、 口角があがったまんま、たまらない。 小粋な大人の雰囲気でメロメロである。
燗がつくともう止まらないのがgon麹。
うのすけさんにお任せしつつ、つまむ料理は浮気盛り。
なんともけったいなネーミングだが
自家製豆腐の味噌漬けに塩こんぶ、桜えびと生しらすという小鉢3つという
確かに酒呑みにとってどれも大好き、捨てられないというものばかり。
「本妻がいて、愛人が2名という構図ね」と、うのすけさん。
奇をてらったネーミングだが、意味も納得! あまりのセンスのよさに脱帽である。
最後の〆にと選んだのは味醂の飲み比べ。
味醂ってごくごくと飲めるもの?とうのすけさんに質問をしたら
「味醂は清酒が普及されるまで、江戸時代後期くらいまで甘口の酒として重宝されていた高級酒」と教えてくれた。
今でもお正月のお屠蘇に味醂を使う地域もあるという。
そもそも味醂の起源は様々な諸説があり、中国の密淋という甘き酒が戦国時代に伝来したという話もある。伝来説のほかに日本に古くから存在していた練酒、白酒という甘い酒に焼酎を加えて飲まれていたという話もある。
こうなると自宅にある味醂は飲めるのだろうかという考えもわいてくる。
それを察知して質問前にうのすけさん。
「家の味醂も飲めるよ。ただし本味醂だよ。本味醂は蒸した餅米、米麹、そして焼酎やアルコールを原料にし、60日間くらいかけて糖化させ、熟成させたもの。この期間の間に米麹の中の酵素が餅米のデンプンやタンパク質を分解させ、糖質、アミノ酸などを生成したもの。味醂と類似している調味料、みりん風調味料や発酵調味料は全く異なる製品で飲めるものではない」と教えてくれた。
色々な味醂の中から選んでもらった5本。
同じ味醂といえど、色合いも香りも酸味も異なり、味わいも様々である。
甘さを強く感じるものもあれば、甘酸っぱく酸味が強いものもある。
5本のなかで飲み比べているうちに、あ、これも好き。あ、これもいいという感じとなり、結局一番、飲み比べのグラスで減りが早かったのは小笠原味醂だった。
三河みりんの愛知県碧南市にある小笠原味醂醸造さんの子で、本味醂「峯宝」の兄弟でもある。加熱処理を行わない生詰。そのため酵素が生きており、天然アミノ産はたっぷりである。
そのためまろやかで甘さに上品さがあり、
まるで砂糖菓子を食べているような繊細さがあった。
味醂だけでなんだか酔いそうな予感……。
とにかく居心地がいい。
カウンターだけの落ち着いた空間。
日本でつくられたあらゆる酒と東京近郊の野菜をつかった料理。
そしてうのすけさんの軽快なトーク。
訪れた者は誰しも笑顔で心から楽しんでいる。
「いつでもおいで。待ってるよ」と送り出してもらうと、
そのままUターンしてもう一杯のんでく!といいそうにもなることも。
「今日は飲むよー」とじっくりと楽しむもよし、サクっと1、2杯飲んで「いってきます」というもよし。
とにもかくにも四谷三丁目、荒木町を彷徨うなら、
必ず立ち寄っておきたいと願う、そんな場所である。
今度は絶対〆のご飯を食べるぞー!(次なる野望)
さて、今日も太陽が西に傾きだした。
そぞろ歩きにはぴったりだ。
ひとっ風呂あびて、草履をひっかけ
ぞろりぞろりと四谷界隈彷徨うとするか。
お気に入りの席を目指して。
↑新しく登録中です。こちらもぽちっとよろしくお願いします。by gon麹
DATA)
店名:日乃丸酒場 うのすけ
住所:新宿区舟町3-6 2F
電話:非公開
営 :17:00〜24:00